アーチ・エネミー / シルヴァーウイング (1999)
1996年にスウェーデンで結成されたメロディックデスメタルバンド。
1999年に発表された3枚目のアルバム[Burning Bridges]の4曲目に収録されています。
メロディックデスメタルを代表する人気バンドで、叙情的な泣きのギターを全面に出したサウンドが特徴です。
[Carcass]を脱退したMichael Amottがメインバンドの[Spiritual Beggars]の合間に活動するプロジェクトとして立ち上げました。
しかしデビューアルバムを発表するや否や日本で人気に火がついた為、こちらをメインバンドとして活動することになります。
前作[Stigmata]の完成間近にPeter Wildoer(Dr)が脱退してしまいますが、デビューアルバムにゲスト参加していたDaniel Erlandssonが正式メンバーとして復帰。
アルバム発表後のツアー中にMartin Bengtsson(Ba)とも喧嘩別れをしてしまいますが、元[Mercyful Fate]のSharlee D’Angeloを迎えて難を乗り切ります。
メンバーを新たにレコーディングに臨み、初期の傑作と呼ばれる本作をリリースします。
その中から、デスメタルにおいて初めてメジャーキーを導入したことで話題になった代表曲がこちらです。
本来のデスメタルは、不安を煽る不協和音の響きを中心に作られます。
メロディックデスメタルはその中に美しい旋律を取り入れましたが、マイナーコードの暗く悲しい旋律であることが殆どです。
メジャーコードの明るい響きとは水と油であり、融合させる発想は存在しませんでした。
この曲も前半部分は[At The Gates]に影響を受けたメロディックデスメタルの王道であり、当然ながらマイナーコードを使用しています。
MichaelとChristopherのAmott兄弟の奏でるツインリードは抒情性に溢れ、ここだけ聴いても名曲として十分に成り立つポテンシャルを持ち合わせています。
ですが、突如曲調がガラリと変化して明るく爽やかなメジャーコードが顔を出します。
[The Square]の[Omens Of Love]にも似た前向きなメロディラインは、後に青空デスメタルと呼び称されました。
デスメタルと明るいメロディは相逸れないものである常識が粉々に打ち砕かれた瞬間です。
曲のラストにかけては、胸を掻きむしるほどに哀愁が爆発した泣きのギターを聴くことができ、[Michael Schenker]への余すことなきリスペクトが感じられます。
どことなく、学生時代の甘酸っぱい思い出溢れる青春ドラマのワンシーンみたいな起承転結のあるストーリー性も感じられます。
メロディックの枕言葉が付くとは言え、デスメタルをプレイする上でこんなギターソロを弾こうと考えたMichael Amottは、天才と言う他ありません。
また、楽曲を引き立てている要素として未完成の演奏とこもった音質も聴き逃せない部分です。
マイナス要素になるばかりか、荒々しさを演出する素晴らしいエッセンスとして作用しています。
こればかりは、日本以外の国でも認知されて大きな飛躍を果たした状態では再現が困難な部分です。
まさに、後世に残すべき芸術作品と言っても過言ではありません。
メロディックデスメタルの究極系とも言える名曲!
全てのファン必聴です。
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