【曲紹介】Santa / Al Lado del Diablo

サンタ / アル・ラド・デル・ディアブロ (1984)

1983年にスペインで結成されたヘヴィメタルバンド。
1984年に発表されたデビューアルバム[Reencarnación]の6曲目に収録されています。

女性シンガー有するスパニッシュメタルのパイオニア的存在のバンドです。
マドリードで活動していた[Obús]のFernando Sánchez(Dr)とJuan Luis Serrano(Ba)が[Huracán]のAzuzena(Vo)と合流して[Viuda Negra]の名前で結成されました。
そこに[Ñu]のJero Ramiro(Gt)が加入してラインナップが揃い、[Obús]と同じChapa Discosと契約。
デモ音源が完成した時点でFernando Sánchez(Dr)とJuan Luis Serrano(Ba)は古巣の[Obús]に戻るべく脱退してしまいますが、2人はその後もプロデューサーとしてバンドを支えます。
空席になったリズムセクションには[Mazo]のJulio Díaz(Ba)と[Ñu]のBernardo Ballester(Dr)が加入し、バンド名をSantaと改めてデビューアルバムをリリースしました。
当時のヘヴィメタルシーンの中ではトップクラスにハードでアグレッシブな音楽性の本作は、スペイン国外でもマニアの間で話題となりました。
その中から、特にハイテンポなスピードメタルナンバーがこちらです。

転がるように前のめりにローリングするギターリフから『それいけ!』とばかりに突っ走る破壊的なドラミングが実に爽快。
[Accept]の[Fast As A Shark]からの影響も大きいアグレッシブなアレンジです。
このテンポで曲の7割ほどをひたすらツインバスの連打で押し切るBernardo Ballester(Dr)は、この当時としては驚異的なプレイヤーではないでしょうか。
低予算でのレコーディングのために音の分離はよくありませんが、逆にそこが曲の持つ激しさを増幅させているように感じます。

Azuzena(Vo)の[Ronnie James Dio]から影響を受けた熱唱も至高です。
コブシをきかせて今にも噛みつきそうな勢いで声を張り上げ、時には魔女が呪詛を唱えるかの如くしゃがれた声で唸るスタイルに圧倒されました。
スペインの女性メタルシンガーの中でも最高峰に位置するパフォーマンスだと思います。
特に、最後のサビに入る直前の悪魔が乗り移ったかと思うようなシャウトは筆舌に尽くしがたいものです。
ここまで凄まじいシンガーは、探しても滅多に見つかるものではありません。

テンションの非常に高いギターソロも聴きどころ満載です。
アクセル全開で爆走するドラムとデッドヒートを繰り広げるかのようにテンション高く弾きまくります。
後半部分ではクラシカルで情熱的なメロディを奏で、どこかエキゾチックな雰囲気も顔をだす名演です。
このフレーズはスパニッシュメタルのトレードマークとなり、後に[Tierra Santa]も多用するようになりました。

スペインのメタルシーンにおいて、パワーメタルの元祖であり最高峰の到達点とも言えるでしょう。
英国圏以外のヘヴィメタルに触れるリスナーは必聴の名曲!

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