【曲紹介】Wizard / Hammer, Bow, Axe and Sword

ウィザード / ハンマー・ボウ・アックス・アンド・ソード (1999)

1989年にドイツで結成されたパワーメタルバンド。
1999年に発表された3枚目のアルバム[Bound By Metal]の1曲目に収録されています。

ファンタジーや北欧神話を題材にしたエピックなサウンドで熱狂的なファンを持つベテランバンドです。
結成から6年という長い下積みを経て1995年に自主制作で[Son of Darkness]をリリース。
地元で大いに話題となり、同じく自主制作で壮大でドラマチックなコンセプトアルバム[Battle Of Metal]を完成させます。
この頃になるとファンからコンサート出演のリクエストが頻繁に送られるようになり、その噂を聞きつけた振興レーベルのB.O. Recordsと契約を締結。
初のオフィシャルリリースとなるアルバムのレコーディングに入ります。
[Faithful Breath]や[Risk]のリーダーとしても有名なHeimi Mikusをプロデューサーに迎えた本作は、よりわかりやすいメロディーとスピード感に溢れる力強い楽曲でマニアの間で話題となりました。
その中から、アルバムのトップを飾るスピードナンバーがこちらです。

激しいドラムのフィルインからシャウトと共に疾走するリズムは、ジャーマンメタルの王道を突き進む非常にわかりやすいもの。
複雑な展開など無く、突進力抜群のビートを武器に力で押しまくるスタイルは難解だった前作とは対極にあたります。
同郷の大先輩である初期[Helloween]と初期[Runing Wild]、そして[Manowar]をミックスしたような豪快さが魅力です。

とにかく、Sven D’Anna(Vo)の暑苦しい歌唱が素晴らしい。
癖の少ない声質で歌い方もストレートなのですが、[Manowar]のEric Adamsに心酔していることを隠そうともしません。
常に120パーセントのパワーで眉間に皺を寄せて声を張りあげる姿が浮かんできます。
彼の声こそがこのバンドの個性であり、過剰なまでの暑苦しさを楽曲に与えています。

熱量溢れる一体感抜群のアンサンブルも見事です。
高度なテクニックはあまり用いないアレンジではありますが、各メンバーがしっかりとリズムキープしながらも前のめりのリズムでスピード感を演出しています。
ギターソロはとにかくエネルギッシュ。
多少の粗さは覚悟して音数を詰め込むプレイは、バンド名の魔術師というよりも戦士です。

この曲の最大の魅力はなんと言っても楽曲のタイトルを連呼するサビ。
“Hammer!!Bow!!Axe and Sword!!”としつこいほど叫びます。
ライブのステージではオーディエンスを巻き込んでの大合唱が起こること間違いなし。
武器の名前というのがまた闘争心を煽ってくれます。

無骨なパワーメタルが一時的に下火になっていた90年代後半。
スウェーデンからはその救世主として[Hammerfall]が彗星の如く現れましたが、ドイツの代表は間違いなく彼らでしょう。
残念ながら日本での知名度は殆どありませんが、暑苦しいパワーメタルを求めるマニア必聴の名曲です。

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