オジー・オズボーン / グッバイ・トゥ・ロマンス (1980)
1979年からソロ活動を開始したイングランド出身のシンガーソングライター。
1980年に発表されたデビューアルバム[Blizzard of Ozz]の3曲目に収録されています。
[Black Sabbath]での活動とソロキャリアで世界的な知名度を誇る、ヘヴィメタルの帝王です。
[Black Sabbath]では8枚のアルバムを残して大きな名声を得るも、アルコールとドラッグが原因でバンドを解雇されてしまいました。
再起を図る為にBlizzard of Ozzを結成し、後に義父となるDon Ardenが経営するJet Recordsからセルフタイトルのデビューアルバムをリリースします。
マネジメントの都合でソロ名義となりましたが、ヘヴィメタルのスタンダードとなる数々の名曲を収録した歴史的名盤となりました。
その中から、過去との決別を歌ったバラードがこちらです。
ソロ活動を開始して間もない頃、出会ったばかりのRandy Rhoadsと2人きりで作ったデモが元になっています。
バンドを追い出されてからのアルコールとドラッグにまみれた日々と、過去のしがらみから解放された晴れやかな気持ちが色濃く反映されています。
肩の力が抜けて囁くように歌うOzzyは、過去の彼からは考えられません。
新しいメンバー達と前に進んでいく決意をして変化が生まれたのでしょうか。
曲全体に漂う優しく包み込むような雰囲気は、Randy Rhoadsによるものです。
美しいアルペジオの旋律をエレキギターで奏で、何本も多重録音してギターによるオーケストラのような響きを演出しています。
気品のあるプレイは、クラシックギターをルーツにしているからこその個性です。
とはいえ、優しいだけではありません。
ギターソロになれば、ディストーションをかけて火の出るようなプレイをエモーショナルに披露します。
スローバラードにおける激しいギターソロには、[Carpenters]の[Goodbye to Love]と同じ感動を与えてくれます。
また、この曲がただのソフトバラードで終わらないのはバックメンバーの力強い演奏のおかげです。
[Uriah Heep]から移籍したLee Kerslakeは豪快なドラマーで、曲が盛り上がるとフルパワーでのショットやシンバルのアクセントを惜しげもなく入れて来ます。
最後のサビではスネアをシンバルを同時に叩くバラードらしからぬプレイまで飛び出します。
にも関わらず、楽曲にうまく溶け込んでいるのはベーシストのBob Daisleyが歌うようなベースラインでボトムに彩りを加えているからです。
彼は共同作曲者としてもクレジットされており、全ての楽器が上手く調和するようにまとめ上げるアレンジセンスも抜群。
このメンバーでの演奏において、欠かせないブレーンです。
これまでの暗く先の見えない絶望的な状況から、光溢れる未来へ羽ばたく希望を歌った名曲です。
あの悲劇的な事故によってRandy Rhoadsとの別れを告げるレクイエムにもなってしまったのは皮肉なことですが、残された作品は永遠の輝きを放ち続けます。
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