【曲紹介】Pink Floyd / The Great Gig In the Sky

ピンク・フロイド / 虚空のスキャット (1973)

1967年にイングランドで結成されたプログレッシヴロックバンド。
1973年に発表された8枚目のアルバム[The Dark Side of the Moon]の5曲目に収録されています。

デビュー当時はドラッグによる幻覚を音楽で表現したサイケデリックロックをプレイしていましたが、リーダーのSyd Barrett脱退後は壮大で最新のテクノロジーを駆使したプログレッシヴロックバンドとして最もセールス的に成功したバンドとして有名です。
全世界で5000万枚以上の途方も無い売り上げの記録を打ち立てたバンドの代表作から、ライブでの人気ナンバーがこちらです。

前曲の[Time]からシームレスで続きます。
キーボードのRichard Wrightが作曲したジャズの要素を取り入れた曲であり、全編がスキャットで構成されています。
メロウなコード進行と浮遊感のあるリズムの上を縦横無尽に響き渡るClare Torryの情熱的なスキャットは、強烈なインパクトです。

David Gilmourの奏でる気だるいスライドギターのプレイをインプロゼーションをしばらく聴いていると、Nick Masonが2発のスネアの連打で号令をかけ、そこからは体の内側から迸るエネルギーを放射し続けるかの如きスキャットが続きます。
曲中での盛り上がる部分と落とす部分の対比が突出しており、張り詰めた緊張感の中でいつの間にか曲が終わっていることに気付かされます。

また、日本でしか知られていませんが、邦題の[虚空のスキャット]が秀逸です。
タイトルの和訳は[天上の素晴らしい演奏会]となり、こちらも曲の雰囲気に沿った素敵な響きです。

ですが、[虚空のスキャット]はそれを凌駕しています。
邦題を考えた人物は、おそらく目を瞑って曲に浸っていたんだと思います。
目を瞑ると、広がる景色は虚空です。
前後左右も、自分がどこにいるのかすらはっきりしない、まるっきり何も無い空間が広がります。
はっきりしていることはただ一つ、その耳に響きわたるスキャットだけです。

楽曲の素晴らしさもさることながら、邦題のセンスも後世に語り継ぎたい歴史的名曲です。

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