【曲紹介】Firehouse / All She Wrote

ファイアーハウス / オール・シー・ロウト (1990)

1989年にアメリカのノースカロライナ州で結成されたハードロックバンド。
1990年に発表されたデビューアルバム[Firehouse]の2曲目に収録されています。

1984年から活動をしていたローカルバンドの[White Heat]に、元[Maxx Warrior]のC. J. SnareとPerry Richardsonが合流してラインナップが固まりました。
活動にあたって、[White Heat]が商標登録されていたことから[Kiss]の楽曲をヒントにFirehouseと改名。
精力的なライブ活動を始めた矢先に、メジャーレーベルのEpic Recordsとの契約を結ぶことに成功します。
[Santana]のバックドラマーや[Styx]の[Glen Burtnick]のソロアルバムを手がけたDavid Praterをプロデューサーに迎えて制作されたデビューアルバムは全米チャートで21位に輝き、日本とシンガポールでも好セールスを叩き出しました。
その中から、哀愁漂うキャッチーなミドルナンバーがこちらです。

キャッチーなメロディラインと太くハードでエッジの効いたギタープレイがよく映えます。
サビの美しいコーラスワークを聴けば、80年代のゴージャスなアリーナロックが好きな層は1発で心を掴まれることでしょう。
音だけ聴けばヘヴィメタルと言っても差し支えない重量感なのですが、曲全体に漂う雰囲気はライトな親しみやすさに溢れています。
例えるならば[Dokken]からワイルドな成分を抜いて、代わりに[Bon Jovi]のような爽やかなエッセンスをつかしたと言えばわかりやすいでしょうか。

この雰囲気は、C. J. Snareのクリアでよく伸びるハイトーンあってのものです。
パワフルで声域が広く、それでいてマイルドで耳障りの良い声を持つ逸材です。
デビュー時点で30歳を超えており、長い下積み時代を乗り切った貫禄も備わっています。

同居した恋人に出て行かれた悲しみを歌ったナンバーだけに、曲全体も哀愁に満ち溢れています。
ヨーロピアンな湿った哀愁ではなく、アメリカ的なカラッとした哀愁はPOPな曲調に見事にマッチしています。
プロデューサーのDavid Praterが作るサウンドも当時は最先端でした。
それぞれの楽器が非常に分離されて聞きやすく、特にトリガーという装置で電子的に加工した図太い音色のドラムは90年代という新しい時代の到来を感じさせます。
この音に感動した[Dream Theater]がプロデュースを依頼したというのは有名な話。

80年代のサウンドを継承しながらも新しいテクノロジーを意欲的に取り入れた名曲です。

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