【曲紹介】Within Temptation / Mother Earth

ウィズイン・テンプテーション / マザー・アース (2000)

1996年にオランダで結成されたシンフォニックメタルバンド。
2000年に発表された2枚目のアルバム[Mother Earth]の1曲目に収録されています。

シンフォニックメタルの代表格として世界中で人気を集めているベテランバンドです。
母国オランダのインディーズレーベルからリリースされたデビューアルバムは、ダークでメランコリックなゴシックメタルサウンドがヨーロッパを中心に人気を博します。
精力的なツアーを行なって知名度を上げるも、メンバーがそれぞれ本業の仕事を持っている兼ね合いで活動が停滞。
起死回生とばかりに仕事を退職してミュージシャンとしての活動に専念して制作された本作は、シンフォニックメタルへと音楽スタイルを大きく方向転換。
それが功を奏して本国オランダとベルギーの音楽チャートで3位に食いこむ大ヒットとなりました。
その中から、アルバムのトップを飾る人気曲がこちらです。

ケルティックなメロディや男女混成の分厚いクワイアが鳴り響く、ドラマチックで壮大なサウンドです。
3/4拍子の雄大なリズムに乗せて奏でられるシンフォニックなアレンジは、シンセで奏でられているとはいえ安っぽさはほとんど感じられず神秘的な雰囲気が曲全体を支配しています。

この雰囲気作りに一躍買っているのがSharon den Adel(Vo)のパフォーマンスです。
派手なオーケストレーションの上を蝶野ように可憐に舞う優しい歌声はまるで天使のよう。
前作[Enter]ではバンドメンバーであり配偶者でもあるRobert Westerholt(Gt/Vo)とのツインヴォーカル編成でしたが、ソロヴォーカルの編成にしたのはプラスに働きました。

ここまでやられると、ヘヴィメタルを聴いている感覚は希薄です。
確かにザクザク刻まれるギターのバッキングやツインバスの連打とタムを多用したヘヴィなドラムパターンはあるのですが、どちらかといえばミュージカルや映画の挿入歌を聴いているような感覚です。
この曲のシンフォニックなアレンジは、それほど強烈に耳に残るものです。

前作で見られたゴシックメタルの要素もわずかに残っています。
中間部分での男声クワイアを中心としたパートは、宗教儀式を聞いているようなアンダーグラウンドな怪しさを感じることができます。
美しさの中にスパイスをひとつまみ投じることで、よりインパクトの強い曲に仕上がりました。

この曲が発表された時期には女性シンガーのシンフォニックメタルバンドが多数登場しました。
代表的なバンドとしてはフィンランドの[Nightwish]とオーストリアの[Edenbridge]が挙げられますが、その2つと肩を並べる存在感です。
ヨーロッパ圏の狭いシーンから飛び出し、世界に羽ばたくきっかけとなった名曲です。

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