マディソン / 灼熱のランデヴー (1986)
1983年に結成されたスウェーデンのヘヴィメタルバンド。
1986年に発表された2枚目のアルバム[Best in Show]の1曲目に収録されています。
2本のギターが奏でる抒情性溢れるメロディを主体としたJudas Priestにも通じるストロングな正統派ヘヴィメタルのスタイルで、Europeに続く北欧メタルの代表格として鮮烈なデビューを飾ったバンドです。
デビュー作が話題になったので、大衆寄りのハードポップに転身をして発表した作品から特に人気の高い曲がこちらです。
ギターを主体としたサウンドだった前作とはうって変わって、歌とシンセを主体としており、ヘヴィメタルとしてのカラーはかなり薄くなりました。
同年にEuropeが発表し、世界中で空前絶後の大ヒットを記録したThe Final Countdownを意識したのでしょうか。
ギターは後ろに引っ込んだミックスとなっており、プレイも控えめです。
前作までのMadisonのスタイルを期待したファンの望んだものとは方向性が明らかに違うものが出来上がりました。
とはいえ、期待外れかと言えばそうではなく、水晶のように透き通ったこの地域特有のメロディアスな楽曲に仕上がっております。
それを如実に演出しているのが、バンドの顔でもあるシンガーであるGöran Edmanです。
彼のマイルドで線の細いハイトーンは、日本のファンの間では[Mr.北欧ボイス]と呼ばれて親しまれており、楽曲の持つ哀愁をこれ以上なく増幅させています。
特徴の強い線の細いマイルドなハイトーンボイスは、この楽曲の持つ甘くロマンチックな雰囲気をとても上手に演出しています。
特に絞り出すような声で苦しそうに歌うサビなどは、モヤのかかったような音質と相まってどこか神秘的で、この曲にはこの声しか有り得ないとまで言わしめる説得力があります。
後に北欧メロディアスハードロックと呼ばれて日本でも人気を博したジャンルの雛形がここにあります。
数々のバンドを渡り歩くGöran Edmanにとっての本当のスタートラインです。
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