【曲紹介】Trance / Confession

トランス / コンフェッション (1982)

1977年にドイツで結成されたヘヴィメタルバンド。
1982年に発表されたデビューアルバム[Break Out]の2曲目に収録されています。

ドイツのヘヴィメタルシーンの創世記を[Accept]と共に作り上げたバンドです。
スクールバンドの[Tribut]として結成され、1980年にTranceへと改名しました。
いくつものバンドコンテストで目覚ましい成果を上げ、その賞金でレコーディングしたデモテープがきっかけでRockport Recordsと契約を結びます。
程なくしてリリースされたデビューアルバムは、田舎臭く垢抜けない雰囲気ながらも強烈な哀愁を放つメロディアスな楽曲によって本国ドイツでは予期せぬヒットをなりました。
その中から、朴訥とした哀愁メロディが魅力的なナンバーがこちらです。

イントロで飛び出すメロディラインは強烈の一言。
ツインリードのハーモニーで奏でられるのは、日本の演歌や昭和歌謡にも似たノスタルジーに溢れたものです。
ハードロックやヘヴィメタルではまず聴くことのできない気恥ずかしさをほのかに感じさせるメロディラインは、良くも悪くも一度聴いたら頭にこびりついて離れません。

Uli Jon Roth在籍時の[Scorpions]も似たようなスタイルの楽曲がありますが、メロディの方向性は明らかに違います。
彼の場合は[Jimi Hendrix]やクラシックのヴァイオリニストからの影響を公言していますが、この曲のメロディラインはどのような経緯で作られたのかが全くの謎に包まれています。

強烈なのはギターだけではありません。
Lothar Antoniの囁くような歌い方は、今にも消え去りそうな儚さを感じさせます。
[Nazareth]のDan McCaffertyにも似た喉を締め付けたような独特なハイトーンは、どこから出しているのか不思議です。
ヘヴィメタルのシンガーとしてはあまりにも個性的で他に類を見ない声質なのですが、こういう哀愁の強いソフトな楽曲には驚くほど良い相性です。

この曲を聞くと、日本人とドイツ人はメロディラインの好みが似た傾向にあると再認識させられます。
決して万人受けする内容ではありませんが、初めて聴いた時のインパクトは多くの人に感じて欲しいと思います。
ドイツのヘヴィメタルシーンの歴史を辿る過程で是非とも辿り着いて欲しい名曲です。

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