【曲紹介】Lion / Never Surrender

ライオン / ネバー・サレンダー (1987)

1983年にロサンゼルスで結成されたヘヴィメタルバンド。
1987年に発表されたデビューアルバム[Dangerous Attraction]の4曲目に収録されています。

ロサンゼルスのメタルシーンの中で、運に見放されながらも確かな実力で存在感を示したバンドです。
[Tytan]を脱退したスコットランド出身のKal Swan(Vo)と、[Lone Star]の中心人物だったウェールズ出身のTony Smith(Gt)がアメリカ移住の際に出会って結成されたLyonが母体となっています。
人気ホラー映画シリーズである[13日の金曜日Part4]の挿入歌に[Love Is a Lie]を提供したり、日本では6曲のデモ音源を集めたものがEPとして発売されるなどメジャーデビュー前から注目を浴びました。
1986年には[The Transformers: The Movie]の主題歌を提供した後、メジャーレーベルのScotti Brothers Recordsと契約を交わします。
満を持して発表されたデビューアルバムから、哀愁溢れる熱いメロディが人気のナンバーがこちらです。

ロサンゼルスを拠点に活動していたのでヘアメタルにカテゴライズされることが多いですが、サウンドは非常に硬派なブリティッシュメタルです。
Kal Swan(Vo)の哀愁に満ち溢れた力強いパフォーマンスは、当時のロサンゼルスの音楽シーンには無い強烈な個性を放っていました。
David CoverdaleやPhil Lynottにも似たブルージーで喘ぐような歌い回しは伝統のブリティッシュロックそのものです。
そんな彼の声で歌われるサビでのヒロイックなメロディラインと分厚いコーラスからは、昼にはアルバイトで糊口を凌ぎながら諦めずに活動を続けていたバンドの強い決意が伝わってきます。

Doug Aldrichの安定した丁寧なギターワークもこの曲を語る上で欠かせません。
主張の強いトーンでパワフルなリフをかき鳴らしますが、決して曲の雰囲気を壊すことなく押しと引きを弁えたメリハリのあるプレイです。
ソロになればクラシカルで流麗なフレーズを派手に披露しますが、スリリングでありながらよく聞けばリズムはとても正確です。
後に[Dio]や[Whitesnake]、世良公則率いる[ツイスト]、[Glenn Hughes]のソロ等、数多くのバンドやプロジェクトに抜擢されるのも頷ける名演です。

残念ながらセールス面では成功できず、様々なトラブルを抱えてたったバンドは解散に追い込まれてしまいました。
ですが、ヘアメタルシーンの中でも特に硬派なサウンドがマニアに末長く愛されている名曲です。

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