ザ・ロッズ / ハリケーン (1983)
1980年にニューヨークで結成されたヘヴィメタルバンド。
1983年に発表された3枚目のアルバム[In the Raw]の1曲目に収録されています。
アメリカにおけるヘヴィメタルムーブメント初期から活動しているベテランバンドです。
元[Elf]のDavid “Rock” Feinstein(Vo,Gt)と[Manowar]脱退直後のCarl Canedy(Dr)を中心に結成。
自主制作の1stアルバム[Rock Hard]をリリース後に1981年にArista Recordsよりメジャーデビューします。
[The Rods]とタイトルを変えて再発された1stアルバムは日本でも配給され、サンフランシスコの人気バンド[Y&T]のライバルとして話題となりました。
続く2ndアルバムの[Wild Dogs]も硬派なサウンドが好意的に受け入れられましたが、レーベル側が提示した売上を確保できず契約を破棄されてしまいます。
ですが、再出発とばかりに当時立ち上げ間もないインディーズレーベルのShrapnel Recordsへと移籍。
アンダーグラウンドな雰囲気満載のストロングなスタイルへと変貌した本作は、代表作にこそなり損ねましたがライブでの定番曲も収録されている力作となりました。
その中から、アルバムのオープニングを飾るファンからの人気の高いナンバーがこちらです。
ザクザクと刻まれるギターの突進力が素晴らしく、小細工無しのリズムで押し切るアレンジからは凄まじいエネルギーを感じます。
目の前の全てを薙ぎ倒して突進する重戦車のようなビートが実に爽快。
鉄壁のアンサンブルと言える縦のラインの揃った演奏は実に見事で、音が壁のように迫ってきます。
重さと速さを兼ね備えた独特のスピード感を演出しているのが、名手Carl Canedy(Dr)です。
ハイハットやライドシンバルで細かく刻まれるパルスは、Garry Bordonaro(Ba)とDavid “Rock” Feinstein(Gt)の強烈なピッキングと完全にシンクロしています。
体を前に引っ張られる感覚を覚えるエキサイティングなフィールは、ヘヴィメタルの醍醐味とも言えるでしょう。
この慌ただしいテンポでリズムをキープするのは、実際にやってみるとかなり大変。
バンドとしての地力が試される素晴らしいアレンジです。
アレンジがシンプルだと、実力が試されるのがヴォーカルパート。
ですが、David “Rock” Feinsteinの声と楽曲の雰囲気は相性が抜群です。
大都会のコンクリートジャングルに生きるアウトローが、嵐のようなスピードで乗り回すバイクをテーマにした曲での彼のパワフルな咆哮は素晴らしいの一言。
本作と同時期に自身のバンドでデビューを飾った、従兄であり元バンドメイトの[Ronnie James Dio]と比較対象になり得るほどの実力者です。
また、ギターソロを排除してしまう無骨な展開も彼らの持ち味です。
本作を発売したShrapnel Recordsといえば後に[Yngwie Malmsteen]をはじめとするテクニカルなギタリストを排出したことで有名になるレーベル。
そんなレーベルがここまで真逆のイメージを持つ作品をリリースしていたなんて、歴史を辿る面白さをつくづく感じました。
その後バンドはセールスが振るわずに暗礁に乗り上げてしまいますが、メンバー達はニューヨークでのヘヴィメタル界隈で親玉のような存在として慕われます。
特にCarl Canedy(Dr)は[Anthrax]や[Possessed]はじめとする、多くのスラッシュメタルの名盤をプロデュースする活躍をします。
大都会の地下深くで轟く、ヘヴィメタルシーンの登竜門として興禅と輝く名曲です。


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