【曲紹介】AC/DC / Flick of The Switch

エーシー・ディーシー / 征服者 (1983)

1973年にオーストラリアで結成されたハードロックバンド。
1983年に発表された9枚目のアルバム[Flick of The Switch]の3曲目に収録されています。

シンプルで骨太なハードロックサウンドを結成当初から貫き、世界中で絶大な人気を誇るバンドです。
前作の[For Those About to Rock (We Salute You)]が全米1位に輝いて念願の世界制覇を果たして勢いに乗ったバンドは、初めてプロデューサーを起用しないアルバム制作にチャレンジします。
しかしレコーディングは一部のメンバーによるアルコールやドラッグの問題で波乱に満ちており、デビュー当時からバンドの屋台骨を支えていたPhil Rudd(Dr)は自身のパートを録音し終えた直後にバンドを解雇されてしまいます。
何とか完成した作品は余分な装飾を排除した極めてシンプルな作風であり、売り上げは前作の1/4にも満たなかったものの、よりパワフルで骨太となったサウンドがファンから愛される作品となりました。
その中から、攻撃的な切れ味の鋭いギターリフを持つタイトルトラックがこちらです。

イントロの一発目のパワーコードから過去作にないほどの重さを感じます。
サウンドのエフェクトを必要最小限にし、音の隙間を作ったことでメリハリがついて相対的にヘヴィなサウンドが演出できていています。
本作が発表された時期はロンドンを中心にNWOBHMのムーブメントが巻き起こっており、ヘヴィメタルへの注目が高まっていた時期です。
AC/DCに影響を受けたバンドも多数登場しており、そんなシーンを彼らも無視できなかったのは想像に難くありません。

結成当初のストレートでワイルドなロックサウンドがここで見事に復活を遂げました。
そこに長年の活動で培った安定感のあるアンサンブルと、アリーナロックの定番であるサビでのシンガロングが見事に融合されています。

Brian Johnson(Vo)の金切り声はメタリックな音像に見事にハマっており、ドラッグの問題で脱退してしまったPhil Rudd(Dr)のプレイもそんな影響は微塵にも感じさせないほど安定しています。
リードギターもここぞとばかりにエモーショナルなプレイをしており、一度頂点に立った後の新たなチャレンジに挑むバンドの状況が如実に現れています。

残念なことは、ライブで披露される機会が皆無だったこと。
ファンが望むヒット曲をあまりにも沢山抱えているため、多くの人を納得させるセットリストが必要な事情を汲めば致し方ないことです。
ですが、歴史の長いバンドの中で比較的地味ながらもパンチの効いた隠れた名曲です。
熱心なAC/DCのファンならば絶対に押さえておくべき必聴ナンバー!

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