ラナ・レーン / コールド・アウトサイド (1995)
1993年から活動を開始したカリフォルニア州出身のシンガーによるプロジェクトバンド。
1995年に発表されたデビューアルバム[Love Is An Illusion]の4曲目に収録されています。
80年代から地元のローカルバンドでシンガーとしての活動をしていましたが、ロサンゼルスに移り住んだ先で夫となるキーボーディストのErik Norlanderと出会い、彼のプロデュースにより自主レーベルよりデビューアルバムをリリースしました。
その中から、取り上げられることの少ない隠れた名曲であるバラードナンバーがこちらです。
ファンタジックなシンセを主体としたイントロを聞けば分かる通り、GenesisやYesを代表とする70年代のプログレッシヴロックから非常に強い影響を受けています。
そこに、ハードロックのサウンドを上手く掛け合わせ、まるでAsiaが正統進化を遂げたようなサウンドです。
リーダーのErik Norlanderの選ぶシンセの音色のチョイスが、完全に70年代に一斉を風靡した「それ」をリスペクトしたものであり、90年代も中盤に差し掛かったタイミングであえて選ぶ理由は、こだわり以外ありません。
そこがまた、その手の音が大好きなファン達にとってはたまらなく愛おしく感じる部分です。
よく聞くと前面に出ているギタープレイも、非常にマイルドで浮遊感を感じるフレーズを多用しており、プログレッシヴロックらしい浮遊感を演出している名演です。
自主制作であるが故に低予算のレコーディングではありますが、サビのメロディがそこを補って余りある魅力的なものです。
甘酸っぱく、鼻の奥がツンとするような旋律が何ともいえない気持ちにさせてくれます。
哀愁とはまた違う、青臭い気恥ずかしさは狙ってできるものではありません。
本作発表から数年後、日本のレーベルと契約したことをきっかけに人気に火がつきますが、この頃はレーベル契約も無いアマチュアに毛の生えた程度のシンガーでした。
ですが、自分達のルーツを惜しげもなく楽曲にぶつけることのできる貴重な時代でもあります。
ベストアルバムには収録されず、ライブでも演奏されることのほとんど無い楽曲ですが、個人的に彼女の発表した楽曲の中でもトップクラスのお気に入りです。
知る人ぞ知る名曲!
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