【曲紹介】Primal Fear / Face The Emptiness

プライマル・フィア / フェイス・ザ・エンプティネス (2007)

1997年にドイツで結成されたヘヴィメタルバンド。
2007年に発表された7枚目のアルバム[New Religion]の2曲目に収録されています。

[Sinner]を率いるMat Sinnerと、[Tyran’ Pace]や[Gamma Ray]で活躍したRalf Scheepersを中心に結成された長いキャリアを誇るバンドです。
結成以来メンバーチェンジは流動的ながらもコンスタントに活動を続け、ヨーロッパを中心に人気を拡大していきました。
2006年には古巣のNuclear Blastを離れ、イタリアのFrontiers Recordsを新たな契約を交わして新作のレコーディングへ入ります。
レコーディング中にギタリストがTom Naumannが脱退し、入れ替わるようにHenny Wolterが復帰するメンバーチェンジがありましたが、レーベルを新たによりメロディアスになった作品をリリースします。
その中から、シンフォニックでドラマチックなナンバーがこちらです。

メロディアスなストリングスのアレンジが施されており、ヒロイックな哀愁を全体に漂わせています。
過去作品ではジャーマンメタルの真髄とも言えるパワーメタルの王道を突き進んで来ましたが、レーベルの移籍に伴って音楽性に幅が出てきました。
ギターリフのサウンドは切れ味が鋭く、パワーも全く損なわれていないのですが、ストリングスが入っただけでここまで印象が変わるとは驚きです。

Ralf Scheepersも得意のハイトーンは封印し、中音域を中心に普段よりもメロディを丁寧に歌っています。
正直に言うと、こんなに器用に歌えるのかと驚きました。
普段は[Rob Halford]にも迫る圧倒的パワーのハイトーンを中心としたスタイルなので、新たな一面を見れて嬉しい気持ちです。

彼の歌によってもたらされる哀愁は、たった1人で敵地に挑む英雄の孤独感をイメージさせます。
サビで過剰な盛り上がりを抑えることで、バックのストリングスが際立って良いバランスになりました。
あえて曲展開を平坦にすることで、胸に秘めたる熱さが表現できた好例です。

愚直なまでにパワーメタルを貫いてきたバンドが見せた新たな一面です。
意図的に盛り上がりを抑制することで何度も聴きたくなる、スルメのような味わいの隠れた名曲です。

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