【曲紹介】Laputa / 揺れながら…

ラピュータ / 揺れながら… (1998)

1993年に愛知県名古屋市で結成されたヴィジュアル系ロックバンド。
1998年に発表された5枚目のアルバム[麝~ジャコウ~香]の4曲目に収録されています。

1990年代の初頭、名古屋市のライブハウスで人気を博したヴィジュアル系バンドは『名古屋系』と呼ばれていました。
そのトップに君臨していた[黒夢]のローディーと[Silver-Rose]のメンバーが合流して結成されました。
1996年のメジャーデビュー後もゴシックな世界観を一切崩さず、メジャー宣伝力を武器にファンを増やします。
メジャーデビューから3作目となる本作は、より歌を強調したメロディアスな路線へと転向。
それによって多くの支持を得て、オリコンチャートで10位を獲得するヒット作となりました。
その中から、ヒットシングルにもなった特にメロディアスで耽美的なナンバーがこちらです。

これまでの作品で見られた黒一色で固められたイメージを発展させ、色とりどりのカラフルな世界観が表現されるようになりました。
イントロにはヴァイオリンのサウンドが導入され、強くフランジャーをかけたギターサウンドによる浮遊感は、これまでのLaputaには無かった要素です。

そして、これだけ歌を全面に出した楽曲はLaputaにとっては初めての試みです。
普段はKouichiのギターに寄り添うように歌うakiも、この曲ではメロディラインが強く主張されており、逆に歌のメロディを参考にギターフレーズを作ったかのようにも思えます。
特に開放感のある雄大なサビのメロディラインは、熱狂的なファン以外の層にもアピールし得るインパクトを持っています。

大衆的になったにも関わらずLaputaの世界観が損なわれなかったのは、Kouichiがギターで綿密なアレンジを施したからです。
Aメロではヘヴィメタルの要素が強いリフを弾いているのですが、柔らかい音作りで驚くほどに歌と調和をして目立ちません。
Bメロも、幾重にもクリーントーンでのフレーズを重ねてまるでシンセのようにカラフルなサウンドを演出しています。
バンドがメロディアスでキャッチーな方向に進むと反発するファンも少なくありません。
しかし、そういった声がほとんど挙がらなかったのは、新しい要素を取り入れても自分達の持ち味を理解した上でバランス良く融合を果たした結果です。

この路線は結果的に後の後進バンド達に大きな影響を与えました。
2年後の2000年に[Janne Da Arc]の発表した[EDEN〜君がいない〜]でもイントロでのヴァイオリンやサビでのバッキングフレーズでこの曲の骨組みが大々的に使われており、現在まで続く影響力を改めて感じさせます。
過去の栄光に縋らず、新たなチャレンジをする決意を感じさせる名曲です。

Laputaの他の楽曲紹介はこちら!

アルファベット別の記事一覧はこちら!

この

コメント

タイトルとURLをコピーしました