【曲紹介】Siam Shade / 夢の中へ

シャム・シェイド / 夢の中へ (1995)

1989年に東京都世田谷区で結成されたロックバンド。
1995年に発表された2枚目のアルバム[Siam Shade II]の5曲目に収録されています。

メロディアスなJ-ROCKにプログレッシブロックやヘヴィメタルに影響されたテクニカルなプレイを融合して人気を博したバンドです。
高校の同級生同士で結成され、幾度ものメンバーチェンジを繰り返しながら1993年にSiam Shade名義となりました。
翌年に記念すべき自主制作アルバムをリリース。
それと時を同じくしてインディーズでありながら渋谷公会堂でワンマンライブを成功させます。
これらの活躍が話題となり、1995年にSony Musicと契約を交わしてメジャーデビュー作となる本作をリリースします。
その中から、サビのツインヴォーカルのコーラスが印象的なソフトでメロディアスなナンバーがこちらです。

ヴィジュアル系バンドからメイクを落として骨太なロックバンドに転身してデビューを行いましたが、甘いメロディと独特の鼻にかかった歌唱法がインディーズ時代の面影をわずかに残しています。
歌だけ抜き取って聴くと、まるでアイドルソングのようです。

ですが、演奏経験も豊富なプレイヤーの集まりだけあって、しっかりとバンドアンサンブルで個性を発揮してします。
イントロでのDaitaのギタープレイはシンセのような音色でロングトーンを張り上げており、一聴しただけでSiam Shadeだとわかる個性は、彼の独特なギターサウンドあってのものです。

アレンジもPOPなサウンドを崩さぬように考え込まれており、ギターパートはオーヴァーダブを極力使用せずに2本だけで成り立たせています。
クリーンのパートとディストーションをかけたパートが明確に役割分担されており、これによって音の隙間が増えてヴォーカルが際立ちます。

曲中は淡々とビートを刻み続ける淳士のドラムプレイも、歌の隙間を縫って一瞬だけ手数の多いテクニカルなプレイをさりげなく聴かせてくれます。
[Rush]や[Dream Theater]に影響を受けたテクニカルなプレイを好む彼らしいこだわりを感じました。

この曲の最大の聞きどころは、甘酸っぱい哀愁を多分に含んだサビです。
ツインヴォーカルでのハーモニーで奏でられるメロイディラインは、歌い回しも含めて恥ずかしさすら感じるほどのインパクトを持っています。
一つの音符に一つの言葉が乗る日本語のリズムが上手く噛み合い、これによって感情が激しく揺さぶられます。
ヴィジュアル系バンドとして出発したプラスの効果が現れている好例です。

後に明石昌夫とタッグを組んで人気バンドの仲間入りをしますが。この頃はまだセールスとは無縁の時代でした。
この曲もシングルカットされず。アルバムのみ収録なのであまり知名度はありません。
ですが、熱心なファンからはフェイバリットに挙げられるケースもある隠れた名曲です。

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