【曲紹介】Amorphis / Mermaid

アモルフィス / マーメイド (2011)

1990年にフィンランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
2011年に発表された10枚目のアルバム[The Beginning of Times]の2曲目に収録されています。

発表する作品はほぼ間違いなくフィンランドの音楽チャートでトップ3にランクインする国民的人気バンドです。
2003年の活動休止を挟み、2006年にTomi Joutsen(Vo)を迎えてリリースした[Ecripse]はバンド初のフィンランドのアルバムチャートで1位を獲得します。
[Tarot]や[Nightwish]での活動でフィンランドにおけるヘヴィメタルシーンの重鎮となったMarco Hietalaがヴォーカルパートのプロデュースに関わったことで人気が一気に爆発し、発表する作品は当然のようにチャートの上位を独占。
本作もフィンランドのアルバムチャート初登場1位を記録し、ドイツのチャートでも16位を記録するなど商業的に大成功となりました。
抒情的なメロディに彩られた名盤から、流れるようなメロディラインが秀逸なアップテンポのナンバーがこちらです。

息を飲む夢ほど神秘的なピアノのアルペジオと、ゲスト参加のNetta Dahlberg(Vo)による美しいスキャットが絡むイントロは実に神秘的。
ギターの奏でるメランコリックなメロディラインと相まって、まるで人魚が深い海の中を泳ぎ回る光景が目の前に浮かんでくるかのようです。

元々はメロディックデスメタルとしてスタートしたバンドですが、この曲ではクリーンパートのヴォーカルしか存在しません。
Tomi Joutsen(Vo)によるゴシックメタルから影響を受けた中音域をメインとした悲壮感あふれるパフォーマンスは見事の一言。
ハイトーンを使うシンガーとは全く毛色の違う朗々と語るように歌うスタイルは、人魚姫の哀しいストーリーを味わい深く表現してくれています。

フレーズの端々には80年代の北欧メタルの雰囲気が色濃く出ているフレーズが散見され、このバンドの他の曲とは一線を画しています。
民謡的なメロディも殆ど出て来ず、あくまでもメロディックなヘヴィメタルとして魅力的に感じる部分が濃縮されています。
予備知識無しで偶然耳にすれば、多くのヘヴィメタル愛好家にアピールできるのではないでしょうか。

個人的には曲のラスト近くで奏でられる短いシンセのソロが特にお気に入りです。
同郷の[Eternal Tears of Sorrow]や[kalmah]等に代表されるメロディックデスメタルバンドが好んで使う音色が使われており、メランコリックな雰囲気を更に増幅させています。
ここ数作でソングライターとしての頭角を表し始めたSanteri Kallio(Key)の見せた底力です。

ベテランバンドの仲間入りをして貫禄が出て来たタイミングで、実に若々しいフレッシュな曲を作り上げてくれました。
映画音楽、ゲーミュミュージックの愛好家にもアピールができるドラマティックな名曲です。

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