【曲紹介】Black Sabbath / Hole In The Sky

ブラック・サバス / ホール・イン・ザ・スカイ (1975)

1968年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1975年に発表された6枚目のアルバム[Sabotage]の1曲目に収録されています。

重く引きずるような重低音のギターリフにより、後にヘヴィメタルが発展する基礎を作り上げた偉大なバンドです。
これまで発表した5枚のアルバムは、どれも商業的な栄光ををバンドにもたらしました。
しかし、その成功の裏ではさまざまなトラブルがバンドを襲います。
アルコールやドラッグの問題だけでなく、マネージャーの交代による訴訟で常にストレスと怒りに満ちたレコーディングとなりました。
そうして出来上がった作品は、これまでとは違うスタイルの行き場の無い狂気じみた憤怒に満ち溢れた作品となりました。
その中から、アルバムのトップを飾るヘヴィなシャッフルナンバーがこちらです。

重い麻袋をズルズル引きずるようなシャッフルリズムが実に心地よいです。
通常、こういったリズムの曲は軽快な雰囲気になることが多いのですが、そんな要素は微塵もありません。
ドロドロとしたギターリフと相まって、芋虫が這いずり回るかの如き怪しげな世界観が広がっています。

ですが、暗さを全く感じさせないのがOzzy Osbourneの常軌を逸するテンションの高さ。
普段のパフォーマンスと比べて1オクターブは高いキーで声を張り上げています。
完璧に気が触れており、まともな精神状態ではないことが一聴しただけでわかります。

半ば自暴自棄になってお祭り騒ぎをしているような異常な雰囲気なのですが、それもそのはず。
当時のバンドは前マネージメントとの訴訟トラブルを抱えており、大きなストレスに晒されていました。
それを発散すべく全ての怒りをぶつけるかの如く制作に没頭します。
そのため、楽曲に呪詛のような強力なエネルギーが込められる結果となりました。

ですが、レコーディングの時間だけは心から楽しんでいたのも事実だと思います。
Tony Iommiのギターソロからは、どこか能天気でほろ酔い気分のような浮遊感が感じられます。
まるでギターで笑い声を上げているようです。
レコーディングスタジオが訴状の確認や弁護士への連絡など、ストレスまみれの生活を忘れさせてくれるオアシスだったことは想像に難くありません。

この曲の沈み込むようなリズムは後続バンドに多大な影響を与えました。
特に同じイングランドの[Cahthedral]やスウェーデンの[Spiritual Beggars]はこの方向性を突き詰め、ストーナーロックという一つのジャンルを確立するまでになります。
新たなジャンルの幕開けにも繋がる歴史的名曲です。

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