人間椅子 / 暗い日曜日 (1995)
1987年に青森県弘前市で結成されたロックバンド。
1995年に発表された5枚目のアルバム[踊る一寸法師]の2曲目に収録されています。
結成当初から3ピースのスタイルを貫き、一度も休止や解散せずコンスタントに活動を続けるベテランバンドです。
Ozzfest Japan2013への出演や海外公演も果たし、国内外問わず注目を浴びました。
ただ、バンド活動は順風満帆ではありません。
本作発表当時はメジャーレーベルから契約を解除され、インディーズでの活動を余儀なくされました。
生活も荒み、自暴自棄な精神状態が反映されたダークな楽曲が数多く並びます。
その中でも特に人気の高いメロディアスなドゥームメタルナンバーがこちらです。
[Black Sabbath]直系のブリティッシュロックと、初期の[井上陽水]を彷彿とさせる暗いフォークソング的なメロディラインが融合されました。
焦燥感にかられるギターリフや、起伏の少ないどんよりとした重苦しい雰囲気は過去の作品には無い独特のものです。
サビでの和嶋慎治の絞り出すような絶叫からは、未来に希望を感じられない虚無感すら漂います。
何かに追い立てられて時間ばかりが無駄に過ぎていく内容は、あの[Pink Floyd]の名曲[Time]にも通じるものを感じます。
雰囲気だけでなく、バンドのトレードマークである卓越した演奏能力を活かしたアンサンブルも見事。
ギターソロ前には変拍子に合わせてギターとベースがユニゾンをするパートがあるのですが、ぼんやりと聴いていると次第に拍を見失って狂気の世界に誘われます。
名盤[Red]を発表した時期の[King Crimson]からの影響でしょうか。
目を閉じればどこまでも暗い宇宙区間が広がるようです。
タイトルの元ネタは、1933年にハンガリーで発表された楽曲です。
ヨーロッパでは聴いた人間は自ら命を絶つと言われ、政府が放送禁止にした都市伝説まで存在します。
曲の雰囲気によく合う秀逸なタイトルです。
この世界観はファンから大きな支持を得て、そライブでは定番曲となるほどの人気ナンバーとなりました。
後にメジャーレーベルへ復帰を果たし、徐々に活動の幅を広げるバンドと苦楽を共にするパートナーのような名曲です。
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