ティエラ・サンタ / ティエラ・サンタ (1997)
1997年にスペインで結成されたヘヴィメタルバンド。
同年に発表されたデビューアルバム[Medieval]の2曲目に収録されています。
90年代以降におけるスパニッシュメタルシーンの中心となっているバンドです。
大都市圏からは遠く離れたラ・リオハで[Privacy]というデモ音源を1本作成しただけのアマチュアバンドのメンバーたちで結成。
名刺がわりにと自主制作で本作のレコーディングを行います。
[Iron Maiden]に影響を受けたメタルサウンドが地元の小さなコミュニティで話題になり、発売されたデビューアルバムはバンドの予想を遥かに超えたセールスを叩き出します。
その噂を聞きつけた[Dio]がなんと彼らをスペインツアーのオープニングアクトに抜擢。
そんな出世作ともなった本作から、バンドのテーマ曲とも言える人気ナンバーがこちらです。
高速シャッフルのリズムと硬質なベースサウンドは[Iron Maiden]からの影響が顕著です。
発展途上の粗い演奏や低予算でのレコーディングによる音質はアマチュアバンドの自主制作音源なので仕方がありませんが、そこを楽曲のインパクトでカバーしています。
暑苦しい旋律と、強烈な巻き舌で歌われるスペイン語の歌詞からは英語圏のバンドでは味わえない独特の雰囲気が滲み出ています。
フロントマンのÁngel San Juan(Vo/Gt)の声域は狭いながらも感情豊かなパフォーマンスについて、どこかのマニアが『何を言っているかわからないけれど、何を言いたいかはよく伝わる』と綴っているのを見たことがあります。
まさに、その通り。
振り絞るようなロングトーンは有無を言わさない説得力を感じます。
よく聞けばメロディラインは非常にキャッチー。
歌詞もAメロ以外は同じ言葉を繰り返しているだけなので、歌詞さえ覚えてしまえば驚くほど覚えやすくて簡単に口ずさめます、
Tierra Santa
Santa tierra
Por ti mi vida he de dar
Se oyen gritos
De batalla
Pero un nombre se oirá
-訳-
聖地よ
聖なる大地よ
そなたに我が命を捧ねばならぬ
戦火の叫びの中でも
名を呼ぶ声は聞こえるだろう
この繰り返しです。
まだ来日したことの無いバンドですが、その日が来たらオーディエンスの大合唱は必至です。
これまで一度も日本で作品が発売されたことの無いバンドですが、スパニッシュメタルに興味を持った際の入門編には最適でしょう。
わかりやすさと暑苦しさを兼ね備えた名曲です。
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