デンジャー・デンジャー / シック・リトル・ツイステッド・マインド (1998)
1987年にニューヨークで結成されたハードロックバンド。
1998年に発表された4枚目のアルバム[Four The Hard Way]の1曲目に収録されています。
ポップで爽快なサウンドと煌びやかなルックスが話題となり、メンバーチェンジに翻弄されながらも息の長い活動を続けるバンドです。
[Bon Jovi]にも似たキャッチーなメロディを主体とした爽快なロックサウンドを武器にヒットを連発しますが、3枚目のアルバム[Cockroach]のレコーディング後にヴォーカルのTed Poleyがバンドを解雇されるトラブルが発生。
後任にソロで活動をしていたPaul Laine(Vo)が加入してヴォーカルパートを録り直すも、Ted Poleyとの法的闘争へと発展してしまいアルバムはお蔵入りになってしまいます。
この状況に嫌気がさしたAndy Timmons(Gt)も脱退。
残された3人はバンドの立て直しを図り、3枚目のアルバムとしてようやくリリースされた[Down]は従来の作風とはかけ離れたダークでヘヴィな時代のトレンドに合わせた作風となりました。
あまりの変化に多くのファンを戸惑わせる結果となった為、[Cockroach]収録曲を再度レコーディングして新曲と織り交ぜて新しいアルバムとしてリリースをします。
その中から[Cockroach]にも収録されたダークなオルタナティブロックナンバーがこちらです。
珍しくBruno Ravel(Ba)がリードヴォーカルを担当しており、これがまたヘヴィな曲調と驚くほどマッチしています。
Paul Laine(Vo)が高音パートをオーバーダビングしている組み合わせは、音楽性と相まって[Alice In Chains]からの強い影響が伺えます。
かといって[Dawn]のようにダーク一辺倒ではなく、音作りも含めて人気絶頂の時期の片鱗が見えているのも嬉しいところ。
ゲストミュージシャンとして脱退したAndy Timmons(Gt)とKasey Smith(Key)も参加しており、シンガーを除けば[Screw It!]発表時のメンバーが勢揃いしています。
テンションの高いテクニカルなギターソロや、サビでの怪しい音色のシンセなんかは前作には無かった特徴です。
曲の間奏で聴けるシンセストリングスを使った展開は、まるで[Led Zeppelin]のKashmirです。
デビュー当時のハードポップ路線からは想像もできなかったアレンジですが、セルフプロデュースになったことで自身の音楽的ルーツを反映させることができたのでしょう。
派手なルックスやPOPな曲調に隠されがちですが、鉄壁のリズムセクションをはじめ演奏能力は非常に高いバンドです。
こういったヘヴィなナンバーでは持ち味をより活かせています。
その結果、前作で離れていったファン達をもう一度振り向かせることにも成功できました。
トラブルに負けず、脱退したメンバー達とも友好な関係を保ちながら過去のマテリアルを有効に使って生み出された隠れた名曲です。
グランジ/オルタナティブ化の波に飲まれたバンドの中でも、変化に柔軟に対応できた好例なのではないでしょうか。
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