【曲紹介】Accept / Head Over Heels

アクセプト / ヘッド・オーヴァー・ヒールズ (1983)

1976年にドイツで結成されたヘヴィメタルバンド。
1983年に発表された5枚目のアルバム[Balls To The Wall]の4曲目に収録されています。

ドイツにおけるヘヴィメタルシーンの先頭に立ち、その発展の基礎を作り上げたベテランバンドです。
デビュー当初はマイナーレーベルでの活動をしており、[AC/DC]の作品を手がけたGeorge Youngをプロデューサーに迎えた[I’m a Rebel]もセールス面で失敗。
ですがその失敗を糧にストロングなヘヴィメタルサウンドへと方向性を変え、本当にやりたいことを妥協せずに追求して制作した[Breaker]は世界中のマニアから大歓迎をもって迎えられます。
それに続くアルバム[Restless And Wild]をリリースすると、[Judas Priest]とのワールドツアーを決行。
その際のパフォーマンスで多くのファンと獲得し、遂には本国ドイツだけでなくアメリカでも注目を浴びるようになります。
とても充実した時期に、重量感溢れるミドルテンポのリズムと野太いコーラスワークをメインに置いた本作をレコーディングします。
この方向性の変化は見事に成功し、ジャーマンメタルを象徴とする歴史的傑作となったばかりか全米デビューまで果たしました。
その中から、クラシカルで叙情的なメロディに溢れるミドルナンバーがこちらです!

どっしり重いベースラインと抒情的なギターソロのアンサンブルで幕を開けるこの曲は、クラシックをこよなく愛するWolf Hoffmann(Gt)の趣味を全面に押し出したもの。
落ち着いたミドルテンポのリズム乗ってメロディアスに奏でられる単音リフからは、気品すら感じられます。
ここにドイツのバンドに多くある無骨な雰囲気が見事に融合され、他にはない独自の個性となっています。
このスタイルは時代を超えてメロディックメタルの雛形として[Hammerfall]等に受け継がれ、多くのオーディエンスを熱狂させています。

前作では[Fast As A Shark]のような当時としては規格外のスピードナンバーが収録されていました。
今作ではそのイメージもガラリと変化し、派手なプレイを封印して重厚なリズムに乗せたメロディアスなナンバーが増えています。
それに伴い、ギターソロもこれまで以上に繊細になりました。
流れるような美旋律を時折りツインリードのハーモニーを交えて奏でており、いかにも欧州のバンドらしいクラシカルな名演です。

普段は強烈な濁声で激しくシャウトする[Udo Dirkschneider](Vo)も、この曲ではメロディを丁寧に歌い上げています。
彼の独特な声のおかげで楽曲の持つ叙情性がより強調されているように感じます。
彼がここまでしっかり歌えるシンガーだと知って驚いたリスナーも多いのではないでしょうか?

アメリカ進出をきっかけに、ミドルテンポでメロディアスに聴かせる楽曲も作れることを世間に知らしめました。
次作の[Metal Heart]ではメロディアスな側面がより強調されて大ヒットとなりますが、その布石とも言える名曲です。

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