【曲紹介】Agent Steel / Agents of Steel

エージェント・スティール / エージェンツ・オブ・スティール(1985)

1984年にロサンゼルスで結成されたスピードメタルバンド。
1885年に発表されたデビューアルバム[Skeptics Apocalypse]の2曲目に収録されています。

デビュー前の[Megadeth]を脱退したばかりのJohn Cyriis(Vo)を中心に結成されました。
活動を開始と同時にデモ音源の144,000 Goneをレコーディング。
これがアンダーグラウンドで大きな話題となり、スラッシュメタルバンドの登竜門ともなっているニューヨークのCombat Recordsと契約を結びます。
発表されたデビューアルバムは、オーソドックスなヘヴィメタルをスラッシュメタルを超えるスピードで演奏するスタイルでマニアの間で名盤として語り継がれています。
その中から、バンドの代表曲とも言える人気ナンバーがこちらです。

ドラバタと忙しなく失踪するリズムは個性的で、凄まじい体感速度を感じさせます。
これほどのスピードで演奏することを想定していない曲を、無理やりテンポを上げてプレイしているために整合感のない破茶滅茶なスピード感が演出されています。
速いテンポでの演奏を前提に成り立っているスラッシュメタルとの明らかな違いがここにあります。
前のめりになりそうなほど体を激しく揺さぶられるようなリズムが、このバンドの強烈な個性なのでしょう。

もう一つの個性として特筆すべきは、John Cyriis(Vo)凄まじいのハイトーンを駆使したヴォーカルワークです。
[Judas Priest]の[Rob Halford]や[Queensryche]のGeoff Tateからの影響が強く感じられる声は、まるで宇宙の彼方まで届くレーザービームのようです。
サビの最後でのロングトーンのシャウトは、多くのリスナーに衝撃を与えたことでしょう。

当時のロサンゼルスにおけるヘヴィメタルのシーンは、リスナーに与えるインパクトを非常に大切にしていました。
それによって厚い化粧を施し、派手な衣装を身に纏う刺激的なルックスのバンドで溢れかえっていました。
彼らはそれら頼らず、極端に尖ったサウンドを武器にシーンへの殴り込みをかけました。

よく聴くと[Iron Maiden]から影響を受けている極めてオーソドックスなヘヴィメタルです。
テンポをそのまま落とした場合はリフもギターソロでのツインリードもヘヴィメタルバンドならば誰もがプレイしているような真新しさは感じられないものです。
それを演奏のスピードとシンガーのハイトーンだけでこれほどインパクトがある曲に仕上げるのですから、着眼点としては素晴らしいアイデアです。

残念ながらセールスには全く結び付かず、バンドは短命に終わりました。
ですが80年代のマイナーメタルを語る上では歴史的価値を備えており、酒の席でマニアを相手に話題にすればサビの合唱が起こるであろう名曲です。

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