【曲紹介】House Of Lords / Battle

ハウス・オブ・ローズ / バトル (2014)

1987年にロサンゼルスで結成されたハードロックバンド。
2014年に発表された9枚目のアルバム[Precious Metal]の1曲目に収録されています。

70年代に活躍した[Angel]のGregg Giuffria(key)が、自身のバンド[Giuffria]を発展させて結成しました。
3枚のアルバムを発表するも1993年に解散しますが、2000年に見事に復活。
メンバーチェンジを繰り返しながらもコンスタントに作品を発表していきます。
2008年頃よりバンドの創始者であったGregg Giuffriaは事業の成功で多忙となり、James Christian(Vo)が彼に変わってプロデューサーとして手腕を振るうようになりました。
この頃からはメンバーも安定し、バンドとしてものまとまりも出てきた頃。
そんな中で発表された本作は、ドラマチックなシンセとハードなギターワークがバランスよく同居した力作となりました。
その中から、珍しくヘヴィメタルの要素を取り入れたナンバーがこちらです。

これまでの作品では多少ヘヴィなサウンドの曲はあれど、基本はメロディアスなハードロックサウンドが主体でした。
そんなバンドが正統派ヘヴィメタルに挑戦しようとしているのですが、バンドのとしての色が非常に色濃く出てしまい、従来通りのサウンドになっているところが何とも微笑ましいところです。

バックを固めるメンバー達はObsession、Mike Vescera Project、Thunderheadなどのヘヴィメタル界隈で演奏をしてきたメンバーとはいえ、中心人物のJames Christian自身は、ヘヴィメタルとは縁もゆかりも無い人物だから致し方ないところです。

16分のスピーディーなギターリフや、緊張感のあるコード進行でパワーメタル風のことは表現できてはいますが、やはり曲のメインはJames Christianのソウルフルでハスキーな素晴らしい歌唱です。
珍しくサビではパワフルなシャウトもしていますが、絞り出すような哀愁のある声質ではヘヴィメタルを表現出来ません。
逆に、そこがHouse Of Lords唯一無二の個性になっており、ファンから愛される大切な要素です。

このケース、ヘヴィメタルのムーブメントを嗅ぎつけて真似をしようと意気込んでいた80年代前半のJourneyにも似ています。
あちらもSeparate WaysやChain Reactionではヘヴィなギターリフを披露していましたが、やはり落ち着いた安定感のあるアンサンブルとSteve Perryの甘く優しい歌がメインとなってヘヴィメタルの雰囲気は皆無でした。

バンドの本流から外れたことをやろうとしても、自分達の魅力が何かを理解しているからこそ殻を破れす、それでいてファンの求めているところに帰着するだなんて、嬉しい皮肉だと思いませんか?
そんなことに気づかせてくれた名曲です。

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