【曲紹介】Destruction / Mad Butcher

デストラクション / マッド・ブッチャー (1984)

1982年にドイツで結成されたスラッシュメタルバンド。
1984年に発表された最初のEP[Sentence of Death]の4曲目に収録されています。

同郷の[Sodom]、[Kreator]と並んでジャーマンスラッシュ三羽烏とも呼ばれ、ドイツのスラッシュメタルシーンを作り上げてきたバンドです。
knights On Demonのバンド名で活動を開始しましたが、間も無く現在のバンド名へ改名。
1984年に発表したデモ音源[Bestial Invasion of Hell]がマニアの間で話題になり、同年にSteamhammer Recordsと契約をして発表をしたのが本作です。
バンドの代表曲を収録したファンからの人気も高い本作から、ライブの定番となった代表曲がこちらです。

若さに任せて突っ走る突貫型スラッシュメタルの典型です。
テクニックもレコーディングの知識もまるで備わっていませんが、とにかく勢いで全てを解決しようとする意気込みが伝わって来ます。
当時はメンバー全員が10代で、初めての本格的なレコーディングだったので無理もありません。
ですが、ここで萎縮せずに前を向いて全力でぶつかる姿勢は大いに評価できます。

この曲は、Mike(Gt)のプレイが全てを握っています。
特にイントロ1発目のリフが衝撃的!
何の変哲も無い単音のアルペジオなのですが、どこか不穏な空気が漂う音階が絶妙です。
バンドのマスコットにもなったマッド・ブッチャーが物陰で包丁を研いでいるような怪しさに溢れています。
一体、どうやったらこんなリフが思いつくのでしょうか?

イントロ以外でも色とりどりのギターリフが次々と現れ、楽曲を彩ります。
どれも基本に忠実なシンプルなものばかりですが、前のめりにガンガン突き進むリズムで他のメンバー達を引っ張ります。

冷静に分析すると、演奏面はお粗末です。
Schmier(Vo/Ba)は自分のスタイルを確立できておらず、喉声でわめくヴォーカルパートは苦しそうで心配になって来ます。
ベースパートもミスの多さが問題になって音量を思いっきり下げられてしまいました。
Tommy(Dr)はリズムキープができておらず、フィルインが入ると必ず拍が増えたり減ったりします。
そればかりか、中盤からは疲れてテンポがどんどん遅くなる始末。

ただ、初期のジャーマンスラッシュはここが魅力です。
冒頭でも触れた通り、演奏力の弱点を勢いで解決しようとする姿勢には清々しさを感じます。
技術を身につけたバンドでは表現不可能な魅力に、マニアならばきっと気付けるはずです。

最初のデモ音源への収録から始まり、幾度となくリメイクされ続けて来ました。
ジャーマンスラッシュの歴史を辿る上で、極めて重要な名曲です。

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