【曲紹介】SHOW-YA / 限界Lovers feat.安室奈美恵

ショーヤ / 限界Lovers feat.安室奈美恵 (2015)

1981年に東京で結成されたヘヴィメタルバンド。
2015年に発表された10枚目のアルバム[PROGRESS]の12曲目に収録されています。

女性メンバーのみで構成されたヘヴィメタルのパイオニアであり、多くのフォロワーを生み出したレジェンドバンドです。
デビュー当時はアイドルバンドとして扱われることも多くありましたが、徐々にヘヴィメタルバンドとしての力強さを全面に出していきます。
1989年には[PRINCESS PRINCESS]を手がけていた笹路正徳をプロデューサーに迎えて発表した[限界LOVERS]と[私は嵐]がシングルヒット。
ガールズバンドの代表格まで上り詰めますが、メンバーチェンジに翻弄されて1998年に惜しくも解散をします。
2005年にオリジナルメンバーで再結成し、2012年に発表した前作の[GENUINE DIAMOND]を発表。
インディーズでのリリースながら、オリコンチャートで最高49位を記録して人気の衰えを感じさせない力作となりました。
Universal Musicと契約を交わしてメジャー返り咲きとなる本作は、アルバムのトップにバンド最大のヒット曲である[限界LOVERS]のリメイクを収録したことで話題となりました。
その中から、同曲を[安室奈美恵]とデュエットしてボーナストラックとして収録したナンバーがこちらです。

[安室奈美恵]といえば若干14歳でデビューしてから圧倒的な知名度を誇るトップシンガーまで上り詰めた人物ですが、HR/HMの世界とはどんな繋がりがあったのでしょうか?
そこを掘り下げてみると、参加した理由も納得できました。
彼女は子供の頃からSHOW-YAの熱狂的なファンであり、デビュー間もない頃に出演したバラエティ番組での”自分の夢を叶えてもらう企画”で目の前でSHOW-YAの生演奏が見たいと懇願。
バンド側が願いを叶えるためにこの曲を演奏したことをきっかけに交流が生まれました。
ちょうどバンドの再結成と[安室奈美恵]側も事務所からの独立が重なり、あの時の恩返しとばかりに今回のコラボレーションが決まりました。

過去の人気曲をリメイクした場合、ファンが求めているものと違った結果になるケースも少なくありません。
ですが、彼女達はそんな心配も杞憂となる素晴らしい仕事をしてくれました。
楽曲のキーは下がっていますが、それ以外は原曲にほぼ忠実な仕上がりです。
オリジナルバージョンはヒットシングルを作ることが目的だったので、ギターやドラムのサウンドが奥に引っ込んだ攻撃性の薄いサウンドでした。
対するこちらのバージョンは、ヘヴィメタルらしい重量感のあるミックスに仕上がっています。

また、[安室奈美恵]の声が楽曲に馴染んでいることにも驚かされます。
伸びのある癖のない声はヘヴィメタルのシンガーとは異なりますが、メロディラインを丁寧に違和感なく歌い上げています。
対する”姐さん”の愛称で親しまれている寺田恵子は、自分の持つスタイルを遺憾無く発揮しています。
[アン・ルイス]にも似たハスキーで妖艶な歌い回しが彼女のトレードマーク。
年齢を重ねたことで声の低音が増し、ドスの効いた貫禄のあるパフォーマンスを聴かせてくれます、

過去の名曲を新たな時代のテクノロジーで見事に蘇らせた良例です。
[安室奈美恵]はこの3年後の2018年に人気絶頂のまま歌手活動を引退しますが、彼女にとって最初で最後のヘヴィメタル作品として歴史に刻まれた名曲です。

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