【曲紹介】Judas Priest / The Hellion / Electric Eye

ジューダス・プリースト/ ヘリオン〜エレクトリック・アイ (1982)

1969年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1982年に発表された8枚目のアルバム[Screaming for Vengeance]の1曲目から2曲目にかけての組曲として収録されています。

ヘヴィメタル創世記からシーンを引っ張り、いつしかメタルゴッドと呼ばれるようになったベテランバンドです。
結成当初はオーソドックスなブリティッシュハードロックバンドでしたが、徐々に音楽性をハードでヘヴィなものに変えていきます。
1980年に発表した[British Steel]は[Iron Maiden]と共にNWOBHMのムーブメントを巻き起こし、世界中から絶大な支持を得てトップバンドの地位を決定的なものとしました。
前作の[Point of Entry]はレコーディングに集中できない環境が影響してメンバー自身も不本意な内容となりましたが、汚名返上とばかりにアメリカ全土を制覇すべく並ならぬ意欲を持って制作されたのが本作です。
その中から、オープニングを飾る組曲形式の代表曲がこちらです。

1分ほどのインストゥルメンタルである壮大でドラマチックな[The Hellion]からアップテンポでメロディックなリフを持つ[Electric Eye]になだれ込む展開は、ヘヴィメタルの伝統として様々なバンドに受け継がれます。

何かとてつもないことが起こるのではないかと思わせる、クラシカルで美しいハーモニーを奏でるギターサウンドで「くるぞ!くるぞ!」と期待を膨らませ、間髪入れずに[Electric Eye]のメロディアスなリフがどーーーん!と炸裂した時のインパクトは、言葉では言い表せません。
この曲があったからこそ、後にメロディックデスメタルやメタルコアといった単音リフをアグレッシヴに聴かせる音楽ジャンルが誕生し、発展を遂げました。

とにかく、この曲はギターリフが命。
それに影響されてか、普段は強烈な高音のスクリームを多用する[Rob Halford]も味のある中音域を多用した歌い方に終始しています。
そこがまたベテランバンドとしての貫禄を感じさせており、見事にプラスに働いているため、おそらく狙っているのでしょう。

小手先のテクニックへのこだわりを捨て、誰よりもヘヴィで重厚なサウンドをシンプルに突き詰めた結果、ヘヴィメタルを表現する上でのテンプレートがここに完成しました。

名曲の枠組みを超え、最早伝統芸能と呼んでも差し障りのないレベルのスタンダードナンバーです。
好みの問題を超越した、ヘヴィメタルの歴史を辿る上では避けて通ることは絶対に出来ない本流の中の本流です。

Judas Priestの他の楽曲紹介はこちら!

アルファベット別の記事一覧はこちら!

コメント

タイトルとURLをコピーしました