【曲紹介】THE YELLOW MONKEY / 球根

ザ・イエロー・モンキー / 球根 (1998)

1988年に東京都で結成されたロックバンド。
1998年に発表された7枚目のアルバム[PUNCH DRUNKARD]の2曲目に収録されています。

1991年のメジャーデビュー以来ライブの集客力に対してセールス面では苦戦を強いられる状況が続きましたが、1995年に発表した[FOUR SEASONS]がオリコンチャート初登場1位を記録。
1996年にシングルとして発表した[JAM]も年間60万枚を売り上げるヒットとなり、バンドは急速に認知を広げていきます。
翌年レコード会社をファンハウスに移籍し、ロンドンでのレコーディングを行なって発表した[Sicks]もオリコンチャート初登場1位となり、当時の日本を代表するロックバンドまで成長を遂げました。
勢いに乗ってわずか1年というスパンで同じロンドンでのレコーディングを行なった本作は、3作品連続でのオリコンチャート初登場1位という快挙を成し遂げました。
その中から、作詞作曲をした吉井和哉(Vo)本人も「10年に一度の曲ができた」と称するシングルカットされたナンバーがこちらです。

イントロの気だるく退廃的なギターのコードからは、イギリスのオルタナティブロックからの影響がひしひしと伝わってきます。
例えるならば、[Radiohead]の[Creep]が最も近いでしょうか。
バンド自身も洋楽のエッセンスとJPOPの親しみやすさをどこまで融合できるか突き詰めていた時期であり、前作までとは全く違う方向性にチャレンジしている時期でした。
その部分が爆発するのがBメロからサビにかけてです。

菊池瑛二(Dr)の目が覚めるようなスネアの一撃から一気に目の前の情景が開け、菊地英昭(Gt)が一心不乱に掻き鳴らすバッキングフレーズと共に曲のテンションも急上昇。
天に舞うようにエモーショナルなサビへと雪崩れ込みます。
洋楽からの影響を公言しながらも、日本人の好む侘び寂びのあるキャッチーなサビを艶かしく歌い上げる吉井和哉(Vo)のセンスとバランス感覚は見事という他ありません。
本能赴くままに愛し合う男女と、新たな生命の誕生に対する願い。
それを耽美な言葉に言い換えて熱唱するパフォーマンスは、90年代のJ-ROCKを象徴する名演です。

また、ボトムを支える廣瀬洋一(Ba)のベースラインも無視できません。
上がりきったテンションでついリズムが前のめりになってしまいがちなアレンジの中でも碇のようにアンサンブルを押し留める8分音符の刻み。
そして、要所要所で入り込むハッとするようなメロディアスなフレーズ。
まさにベース(土台)と言うに相応しいプレイです。

個人的にはサポートメンバーとして参加している三国義貴(Key)のプレイが耳を引きました。
サビに入る直前で、こういった曲調ではまず使われないであろう煌びやかな音色をまさか堂々と使っていたことに驚きです。
しかも、注意して聴かなければ気が付かないほど自然に。

結果的に、オリコンシングルチャートでトップに輝いた唯一の楽曲となりました。
ライブでは必ず演奏される、バンドを代表する名曲です。

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