【曲紹介】Helloween / Eagle Fly Free

ハロウィン / イーグル・フライ・フリー (1988)

1984年にドイツで結成されたヘヴィメタルバンド。
1988年に発表された3枚目のアルバム[Keeper of the Seven Keys Part II]の2曲目に収録されています。

メロディックパワーメタルを世界中で認知させたジャンルを代表するバンドです。
専属シンガーのMichael Kiske(Vo)を迎えて発表した前作[Keeper of the Seven Keys Part I]は、デビュー当時よりも更にメロディックな要素を全面に押し出してバンドの新たな方向性を示しました。
[Armored Saint]と[Grim Reaper]と共同でのアメリカツアー、そして[Overkill]とのヨーロッパツアーも成功して世界中での人気を高めます。
その勢いに乗って、本来2枚組で発表する予定だった前作に収録されなかった楽曲を中心とした作品をまとめてリリースしたのが本作です。
Michael Kiske(Vo)の驚異的なハイトーンと明朗なメロディラインの楽曲が世界中で大ヒットを飾った作品から、屈指の人気ナンバーがこちらです。

明るく前向きなメロディラインのサビで多くのリスナーの度肝を抜きました。
ヘヴィメタルはメジャーコードはあまり用いず、マイナーコードで構成されていることが殆どです。
明るい曲調であっても能天気なパーティーロックだったり落ち着いたミドルテンポのアレンジだったりで、テンポの速い攻撃的なアレンジはほぼ無きに等しい状況でした。

曲の半分以上を締めるツインバスの高速連打による激しいビートと細かく刻まれるメロディックなギターリフは、このバンドの従来のトレードマークです。
Aメロはギターリフとユニゾンしているマイナー調のメロディラインで、ここまではよくある展開。
Bメロではドラムソロをバックに歌うという[Deep Purple]の[Burn]に影響を受けた個性的なアレンジが光りますが、ここでもまだメロディはマイナー調です。
初めて聴いたリスナーは、サビに差し掛かるところで度肝を抜かれます。

これまで漂っていた閉塞感はどこへやら、トンネルを抜けると目の前には雲ひとつない青空。
どこまでも続く地平線を目指して雄大に空を飛んでいるかのような解放感あふれるメロディが洪水のように押し寄せます。
Michael Kiske(Vo)のよく伸びる透き通ったハイトーンとの相性も抜群。
まさに、彼が歌うことをイメージして作られたメロディラインと言えるでしょう。

また、曲全体のアレンジを見ても非常にカラフルながらも無駄を徹底的に削ぎ落とした絶妙なバランスです。
高速ツインリードでハーモニーを奏でるギターソロはもちろん、短いベースソロやドラムソロのパートまで盛り込んで演奏陣のテクニックを披露する場を設けています。
かといって冗長にならないのは、歌の間奏として成り立つ範囲の長さで収めているからでしょう。
まさに、聴きどころしか存在しない理想的な展開です。

攻撃的なリズムと明るいメロディというヘヴィメタルにておいては水と油であろう組み合わせを違和感なく融合させたのは、当時はどのバンドの試みなかったチャレンジでした。
この音楽性は後にメロディック・パワーメタルやメロディック・スピードメタルと呼ばれて人気サブジャンルの一つとなります。
中でもこの曲からの影響が強い楽曲を、収録アルバムのタイトルから”Keeper系”と称するファンもいるほどです。
[Scorpions]や[Accept]が作ったジャーマンメタルシーンでしたが、その人気を更に押し上げるきっかけとなった名曲です。

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