【曲紹介】Black Sabbath / Lady Evil

ブラック・サバス / レディ・イーヴル(1980)

1968年にイングランドで結成されたロックバンド。
1980年に発表された9枚目のアルバム[Heaven & Hell]の3曲目に収録されています。

度重なるアルコールとドラッグによるトラブルが原因でシンガーのOzzy Osbourneを追放したバンドは、なんとRainbowを脱退したばかりのRonnie James Dioを新たなメンバーとして迎え入れます。
そして、Rainbowのプロデューサーを勤めたMartin Birchと共に作り上げた作品は、Black Sabbathの元からある持ち味にRonnie James Dioの良いところをミックスした非常にバランスの良い作風となりました、
その中から、いくらか地味でありながら単体として聴けばしっかりと存在感を表しているナンバーがこちらです。

従来のBlack Sabbathではあまり聴くことのできない、贅肉を削ぎ落としたストレートな8フィールのミドルナンバーですが、ここで光るのがベースとドラム!
まるで接着剤でがっちり固めたかのように一体化したリズムを打ち出しています。
Bill Wardのドラムスタイルは、Jazzに影響を受けた手数の多い破天荒なスタイルでこういう楽曲は大の苦手だと思いきや、Geezer Butlerのベースがしっかりと下から支えているので非常に心地よく聞こえます。

よくよく聴くとリズムの細かいところがフラフラしているようにも感じますが、ベースも一緒になってリズムの揺れを表現しているため、違和感はほとんど感じられません。
10年以上共にリズムを作り上げてきたパートナー同士だからこその鉄壁のプレイです。
モコモコした音質で這い回る芋虫のようにウネウネと刻まれるベースラインは、この上なく個性的で最高の良いものに仕上がっています。

その上に乗るのが、ヘヴィメタルリフを作り上げたパイオニアでもあるTony Iommiのギタープレイです。
決して表には出ずにRonnie James Dioの歌を聴かせるためのバッキングに徹しているのですが、当時としては非常にメタリックでスタイリッシュなリフを刻んでいます。
ツアーの前座を勤めたVan Halenのプレイをステージ脇で観察しており、もしかしたらEddie Van Halenのギタープレイに影響を受けたのかもしれません。
若い世代からも良いところはしっかりと吸収する姿勢は見事です。

もちろん、新加入のRonnie James Dioは相変わらず。
バンドが変わったとしても、自分は自分だとばかりにRainbowで聴かせてくれたものと同じくコブシを効かせた暑苦しい歌唱を披露してくれます。
これまでのBlack Sabbathの音楽性には全く合わないスタイルなのに、まさかバンド側が寄せてくるなんて驚きです。
新加入のシンガーに合わせてバンド側がスタイルを変えるなど、これまでのファンを全員切り捨てる覚悟がないと出来ない非常に勇気が必要な決断だったと思います。

ただ、バンドの活動自体がマンネリ化して暗礁に乗り上げていた時期であり、ベストタイミングでした。
変わりたいと強く願っているところに吹いてきた新しい風。
その風がバンドを新たなステージへと誘いました。
シングルカットされていない地味な楽曲ですら、輝きを放っているのが何よりの証拠です。

Black Sabbathの代表曲を聴き尽くした方はこういう隠れた名曲で新たな魅力を発見してください。

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