リジー・ボーデン / ゼア・ウィル・ビー・ブラッド・トゥナイト (2000)
1983年にロサンゼルスで結成されたヘヴィメタルバンド。
2000年に発表された5枚目のアルバム[Deal with the Devil]の1曲目に収録されています。
80年代のロサンゼルスの音楽シーンに溢れていたヘアメタルムーブメントの中にいたバンドです。
他のバンドと同じく派手なメイクと衣装に身を包んだ過激なルックスでしたが、[Alice Cooper]に多大な影響を受けた演劇がかったライブパフォーマンス、そして見た目に反して[Iron Maiden]直系のブリティッシュメタルサウンドを聴かせてくれるギャップが話題をさらいました。
90年代に一度活動を休止するも、奇跡の復活を遂げた作品のトップを飾るこの曲は、すべてのメタルファンの度肝を抜く内容でした。
再生ボタンを押して飛び出してくるのは、アメリカのバンドとは俄に信じがたい非常に高品質なブリティッシュメタルサウンドです。
イントロの美いツインリードで奏でるギターフレーズと、その下でテクニカルに動きまくるベースを聴けば、誰もが[Iron Maiden]をイメージするでしょう。
1985年のデビューアルバムとスタイルは同じですが、湿った質感の音質がよりブリティッシュメタルの雰囲気を増幅させています。
シンガーであるLizzy Bordenの歌い方も[Bruce Dickinson]をかなり意識しているようで、曲の最後で炸裂するシャウトではそのことを隠そうともしていません。
声域が上にとても広いシンガーであり、癖の強い歌い方でも違和感なく楽曲に溶け込んでいます。
実は、ギターソロもかなりの名演。
テクニカルなプレイではなく、ブリティッシュメタルの基本に根ざした地味なプレイですが、フレーズがいちいち痒いところに手が届きます。
最後の最後でようやくツインリードでハモるところなんか、限界まで溜めてから放つ必殺の一撃のような展開です。
実は、この曲の鍵を握っているのがベーシスト。
ミックスもかなり大きめで目立っているのですが、イントロやギターソロのバックではリードギター並に動きまくっています。
ここも[Iron Maiden]のSteve Harrisとの共通点が伺えます。
5ヶ月前に[Iron Maiden]も劇的な復活作をリリースしましたが、そこに収録されてもおかしくないほどです。
むしろ、本家よりも「らしい」音ではないかと思うレベルです。
あまり大きなニュースにもならず、マイナー作品に成り下がっていますが、全てのブリティッシュメタルファン必聴の名曲です。
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