【曲紹介】Lizzy Borden / There Will Be Blood Tonight

リジー・ボーデン / ゼア・ウィル・ビー・ブラッド・トゥナイト (2000)

1983年にロサンゼルスで結成されたヘヴィメタルバンド。
2000年に発表された5枚目のアルバム[Deal with the Devil]の1曲目に収録されています。

グラムメタルのムーブメントに乗ってデビューしながらも、ヨーロピアンなヘヴィメタルサウンドが話題を呼んだバンドです。
派手なメイクを施し、煌びやかな衣装に身を包んだ過激なルックス、は同時期にデビューをした同じシーンで活動していたバンド達と酷似しています。
しかし[Alice Cooper]からの影響が顕著な劇がかったライブパフォーマンス、そして見た目に反して[Iron Maiden]直系のブリティッシュメタルサウンドのギャップがマニアの間で話題となります。
ヘヴィメタルのムーブメントが終わるとともにバンドは活動を鈍化し、1996年には活動を休止
ですが1999年に活動を再開し、古巣のMetal Bladeから復活作である本作をリリースします。
その中から、全盛期より更にブリティッシュメタルの影響が顕著になったナンバーがこちらです。

アルバムを再生して最初に耳に飛び込んでくるのは、アメリカのバンドとは俄に信じがたい直球のブリティッシュメタルサウンドです。
メロディックなツインリードで奏でるギターとその下でテクニカルに動きまくるベースラインを聴けば、多くのリスナーは[Iron Maiden]をイメージするでしょう。
1985年のデビューアルバム[Love You to Pieces]から続く伝統のスタイルですが、湿った質感の音質がより英国っぽさを増幅させています。

Lizzy Borden(Vo)の唱法も[Bruce Dickinson]を意識しています。
歌い方の癖はとても強いのですが、ハイトーンが非常に伸びる爽快感抜群のパフォーマンスは曲のアレンジとの相性は抜群。
要所要所で炸裂する強烈なシャウトは、完全に本人になりきっています。

ギターソロの展開も耳を引くものがあります。
前半部分はこれといって強い個性のあるプレイでは無いのですが、後半から解き放ったかのようにテンションの高いプレイへと変化します。
最後の最後で堰を切ったかのように炸裂するツインリードのハーモニーは、必殺の一撃と言っても過言では無いでしょう。

この曲のアンサンブルの最になっているのは、何を隠そうMarten Andersson(Ba)です。
イントロやギターソロのバックでリード楽器のように主張する彼のプレイは、バンドのアンサンブルにおけるSteve Harrisと同じ立ち位置です。
5ヶ月前に本家の[Iron Maiden]も劇的なリユニオン作をリリースしましたが、そこに収録されても違和感はありません。
むしろ、こちらの方が80年代のメイデンサウンドを継承していると感じるリスナーも多いのでは無いでしょうか?

後にNWHTHMのムーブメントがアメリカで巻き起こりますが、その先駆けとなっているサウンドです。
2000年代に新たな正統派ヘヴィメタルのリバイバルに一石を投じた名曲です。

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