【曲紹介】Kansas / Carry On Wayward Son

カンサス / 伝承 (1976)

1973年にカンザス州で結成されたプログレシヴロックバンド。
1976年に発表された4枚目のアルバム[Leftoverture]の1曲目に収録されています。

Kansasの長い活動歴の中で最も著名な楽曲であると同時に、アメリカンプログレッシヴロックの代名詞とも言えるほどの人気を誇ります。
ソロで雄大に歌い上げるサビで始まる展開は、ここだけでインパクト絶大。
あのQueenもFat Bottomed Girlsの冒頭で参考にしたと思われる黄金アレンジです。
名曲とは、最初の1秒でそれを確信させる破壊力を持っています。

プログレッシヴロックの一般的なイメージには、何回で複雑怪奇な展開の楽曲を卓越したテクニックによるアンサンブルで表現する、ある種の取っ付き難さが挙げられます。
イギリスのバンドに、特に多く見られる傾向です。

ただ、Kansasは一味違いました。
全員が非常に高い演奏技術やアレンジセンスを持っているところは共通していますが、歌メロやギターリフが非常にポップで覚えやすいものとなっています。
プログレッシヴロックは、演奏を聴かせることを重視する代わりに歌が弱いケースが多々あります。
ですが、Steve Walshのヴォーカルは甘くエモーショナルな美声を味わい深く歌い上げています。

ギターリフやオルガンワークは、ハードロックを意識しており、[Wishbone Ash]のようなツインリードでの美しいハーモニーも随所に顔を出しています。
後に活躍するヘヴィメタルバンド達にも多大な影響を与えており、沢山の後進バンドたちがこの曲で使われたフレーズを引用しています。

楽曲の展開も、難しい変拍子を多用せず、たまに軽いリズムチェンジを交える程度で一つのテーマを組曲のように構築していくスタイルです。
このバランス感覚が実に絶妙。

シンプルにし過ぎると、これまでのファンからは「こんなのプログレじゃない!」とそっぽを向かれます。
かと言って複雑にし過ぎると、マニア向けとなってしまい新規のファンを獲得し辛くなります。

この楽曲の最大の魅力は、プログレッシヴな側面とポップな側面が絶妙なバランスで絡み合い、更にはハードロックのエッセンスまで違和感なく混在しているところです。
これにより、どのジャンルのファンからも好意的に受け入れられました。

まさに、名曲になるべくして生まれた名曲。
全ての70年代のロックファン必聴です。

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