【曲紹介】Lost Horizon / Sworn In the Metal Wind

ロスト・ホラインズン / スウォン・イン・ザ・メタル・ウインド (2001)

1999年にスウェーデンで結成されたパワーメタルバンド。
2001年に発表された1枚目のアルバム[Awakening the World]の3曲目に収録されています。

Daniel Heimanの卓越した歌唱力とドラマチックなパワーメタルサウンドで人気を博したバンドです。
1990年に結成された[Highlander]が母体となっており、Joacim Cans(Vo)は[Hammerfall]に、Michael Nicklasson(Ba)は[Dark Tranquillity]に移籍するなどスウェーデンの狭い人脈でメンバーが非常に流動的でした。
1994年に一度活動休止をしますが、1999年にメンバーを一新して再結成をする際に新しいバンドとして現在の名前に改名。
すぐさまレコーディングをした音源をいくつかのレコード会社に送り、興味を示したMusic For Nationsと契約を締結します。
リリースされたデビューアルバムは、多くのメロディックメタルファン達の絶賛を浴びました。
その中から、バンド屈指の人気曲であるスピードナンバーがこちらです。

曲がはじまった途端に飛び出す、Daniel Heiman(Vo)の凄まじいシャウトに度肝を抜かれるでしょう。
まるで超音波のような高いキーまで達するハイトーンはまさに圧巻の一言。
安定感、声の伸び、音域の広さ、表現力、全てにおいてメロディックメタル愛好家が求めるシンガーに必要な要素を網羅しています。
[Manowar]の[Blood Of The King]にも似た、ピュアなヘヴィメタルへのリスペクトが溢れている名演です。

典型的なスピードナンバーでありながら、[Helloween]に代表されるメロディックパワーメタルとは毛色が異なります。
[Iron Maiden]が得意とするギャロップのリズムでスピード感を演出しており、それをハイテンポで演奏をして体感速度を更に高めています。
そのスピード感はスラッシュメタルやハードコアパンクにも匹敵するレベル。
その上に[Manowar]や[Running Wild]からの影響が顕著なヒロイックなメロディが乗るので、高揚感は計り知れません。

奇抜なコスチュームに身を包んでいるメンバーからはコミックバンドのような雰囲気も漂いますが、本人達は至って真面目。
映画[Highlander]の世界を忠実に再現すべく、徹底した世界観を演出しています。
ミュージカルのように台詞をリズムに乗せて独特の節回しで語るサビを聴けば、どれだけ彼らが本気かが伝わるはず。
曲のラストで転調を繰り返す展開は、[Judas Priest]が[Exciter]で作り上げたヘヴィメタルの様式を忠実に再現していることの表れです。

エピックまヘヴィメタルは、雰囲気重視で取っ付きにくいことが多くあります。
その点彼らは、メロディアスで極めて間口の広いサウンドをバランスよく融合できてます。

ヘヴィメタルの暑苦しい部分を濃縮し、素晴らしいシンガーと演奏で包み込んだ名曲です。
バンドは残念ながら短命に終わってしまいましたが、鋼鉄の風の中で誓った想いは今でも生き続けています。

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