【曲紹介】Destruction / Curse the Gods

デストラクション / カーズ・ザ・ゴッズ (1986)

1982年にドイツで結成されたスラッシュメタルバンド。
1986年に発表された2枚目のアルバム[Eternal Devastation]の1曲目に収録されています。

同郷の[Sodom]、[Kreator]と並んでジャーマンスラッシュ三羽烏とも呼ばれ、ドイツのスラッシュメタルシーンを作り上げてきたバンドです。
デビューEPの[Sentence of Death]と1stアルバムの[Infernal Overkill]は、当時のジャーマンスラッシュメタルシーンを代表する作品として多くのマニアを熱狂させました。
勢いに乗ったバンドは、[Trance]や[Talon]等のB級ジャーマンメタルを手がけていたManfred Neunerをプロデューサーに招き入れます。
独特のギターサウンドとスピードとアグレッションがより強調されたサウンドは、バンドの最高傑作と挙げるファンも多くいる名盤に仕上がりました。
その中から、メロディアスで不穏な雰囲気満載のリフワークが魅力の代表曲がこちらです。

不安を掻き立てる不協和音満載のインストパートから組曲形式での構成となっています。
本編に突入した際のザクザク刻まれるギターサウンドを聴いて、驚きました。
特定の音域だけが極端にブーストされ、高音が耳に焼き付くあまりにも個性的な音です。
これほど尖ったギターサウンドは、これまでのスラッシュメタルでは滅多に出会えるものではありませんでした。

ミドルテンポでテクニカル且つメロディアスなギターリフがひたすら刻まれ、テンションが最高潮に達すると同時に行われる唐突なリズムチェンジは何度聞いても驚かされます。
同じリフの中でドラムのビートだけが4倍に増える強引なアレンジからは、この時代のスラッシュメタルらしさが滲み出ています。

この強引なスピード感は、所謂リズムキープのできないタイプのドラマーであるTommyだからこそ出せる要素です。
殆どのポピュラーミュージックにおいては一定のテンポが存在し、その中でビートを変えることで曲の持つスピード感をコントロールするアレンジが一般的です。
彼の場合は曲のビートと一緒にテンポまで強引に変えてしまうので、前につんのめる独特のフィールが生まれます。
後任として加入したドラマー達はしっかりとテンポキープができる能力を持ったプレイヤーばかりなのですが、このテイクの持つ魔法のようなリズムは再現できませんでした。
Tommyがどれだけ雰囲気作りに貢献していたかよくわかります。

どれだけ目まぐるしく曲が展開しようと、矢継ぎ早に耳に残るキャッチーなリフが生み出されます。
1つの曲で一体どれだけのリフが登場するのでしょうか。
これだけのアイデアを具現化するセンスは、多くいるリフメーカーの中でも抜群です。
まさに、Mike(Gt)の才能が開花した瞬間と言えるでしょう。

また、自身の歌い方を確立したSchmier(Vo/Ba)も水を得た魚のように活き活きしています。
苦しそうに呻き声を上げる前作のスタイルが自分には合っていなかったと反省し、吐き捨てる声を金切り声を使い分けるスタイルに転向。
[Mercyful Fate]の[King Diamond]からの影響も窺える二面性は、狂気を演出するにはこれ以上なく相応しいパフォーマンスです。

一本調子ではなく、テンポチェンジやリズムチェンジも多用して緩急をつけたアレンジも見事。
それでいてキャッチーさを失わないように丁寧に作り込まれており、多くのステージを踏んで様々なものを吸収してきたバンドの成長が窺えます、

ライブでは必ず演奏され、イントロが鳴り響くだけでオーディエンスから大きな歓声が湧き上がります。
まさに、ドイツのスラッシュメタルシーンを代表する名曲中の名曲です。

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