【曲紹介】Axewitch / Born In A Hell

アックス・ウィッチ / ボーン・イン・ア・ヘル (1982)


1981年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1982年に発表された最初のEP[Pray For Metal]の1曲目に収録されています。

スカンジナビア半島におけるヘヴィメタルムーブメントの最初期に活動を始めたバンドです。
同じLinköping出身の[Mindless Sinner]と共に地元のシーンを盛り上げていました。
結成とほぼ同時に1981年度のバンドコンテストで優勝をするという快挙を成し遂げ、その賞金でデモ音源とレーベルにプレゼンするための音源をレコーディングします。
ですが送った4曲にはどこのれレーベルも興味を示さなかった為、ジャケット制作からプレスまで全て自費で行って500枚限定のEPとしてリリースをする運びとなりました。
殆どがライブ会場での手売りでセールスは惨敗でしたが、21世紀に入ってインターネットを通じてマニアの間で知られる作品へと発展します。
その中から、作品のトップを飾るナンバーがこちらです。

かつて日本のメディアが北欧メタルとして紹介した[Europe]や[Madison]ような透明感のあるメロディアスなスタイルとは異なるサウンドに面食らうリスナーも多くいるのではないでしょうか。
[Black Sabbath]に影響を受けた引きずるようなギターリフからは、無骨で飾らないブリティッシュメタルの雰囲気が色濃く出ています

ですが、この曲の強烈なインパクトは別の部分にあります。
楔を打ち込むようなパワフルなユニゾンを連発するイントロから、全く縦のラインが合っていません。
リズムキープすらおぼつかないにも関わらず、一片の迷いも無く全力でアンサンブルを行うメンバー達からは若いエネルギーがひしひしと感じられます。

そんな演奏とうまく混ざり合ってアンダーグラウンドな雰囲気作りに一躍買っているのがシンガーの存在。
モゴモゴと聞き取りづらい発声であっても懸命にシャウトを繰り返しているのを聴いていると、思わず応援をしたくなる微笑ましい気持ちになってきます。
メンバーの誰かが描いたであろう凄まじいジャケットが、そのまま音になって再現されているようです。

演奏は発展途上であっても、リフやギターソロは非常に魅力的。
冒頭古き良きハードロックから発展したヘヴィメタルの基本となるソリッドなプレイからは冒頭でも説明した通りブリティッシュメタルの香りがプンプン漂ってきます。
ギターソロも短いながらも驚くほど丁寧にプレイされており、しっかりと考えて作られていることがよくわかります。

色々と褒め倒しましたが、アマチュアバンドの自主制作音源であってプロの作品として楽しむ水準には達していないのも事実。
ですが、メジャーなバンドを一通り聴き倒した上でヘヴィメタルの歴史を学ぼうと思ったマニアには食指が伸びると思います。
まさに、日本のメディアが取り上げなかった北欧メタルの源流を感じられる名曲です。

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