【曲紹介】Iron Maiden / The Trooper

アイアン・メイデン / 明日なき戦い (1983)

1975年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1983年に発表された4枚目のアルバム[Piece Of Mind]の5曲目に収録されています。

数多くのフォロワーを生み出した、ヘヴィメタルを象徴するトップバンドです。
初期はパンキッシュなスタイルのヴォーカルとスピード感のある楽曲で、瞬く間にシーンを代表するバンドとなりました。
1982年には[Samson]から[Bruce Dickinson]が加入して最初の作品である[The Number Of The Beast]を発表。
広い声域と感情表現豊かなフロントマンを迎えた作品は、バンドは全英1位となったばかりか全米チャートでも33位に食い込みました。
大きな飛躍を遂げた矢先にClive Burr(Dr)がプライベートの問題で脱退するトラブルに見舞われますが、フランスの[Trust]に在籍していたNicko McBrain(Dr)が加入してリリースツアーへと繰り出します。
ツアー終了後は新たなラインナップでレコーディングを開始。
完成した本作は、過去作以上にドラマチックでメロディアスな側面を前面に出した名盤となりました。
その中から、ライブには欠かせないインパクト絶大な人気曲がこちらです。

ギターとベースがユニゾンする強烈なイントロのリフは、頭を殴られたような強烈なインパクトです。
続けてもう一本のギターがハーモニーを奏で、メロディックなタム回しを使ったドラムのフィルインが畳み掛ける展開は多くのリスナーが圧倒されるでしょう。
綿密に構築されているにも関わらず、老若男女誰もが理解できる判りやすさ。
これはもう好き嫌いを超越ており、心の中に無理やり潜り込んで来るレベルです。

ツインリードのハーモニーを最大限に活用したメインリフに乗せてギャロップのリズムでバキバキと荒れ狂うベースラインは、後にこのバンドに欠かせないトレードマークとなりました。
多くのバンドがこのスタイルを模倣とし、後に”メイデン風”と呼ばれてファンに親しまれるスタイルへと発展します。

この曲の特筆すべき点は、極端にシンプルな曲構成です。
ポピュラーミュージックの多くはイントロ→Aメロ→(場合によってBメロ)→サビという展開が一般的ですが、この曲はAメロにしか歌詞が登場しません。
殆どがコーラスと間奏、そしてギターソロだけで構成されています。
特異とも言えるアレンジですが、この判りやすさがステージでオーディエンスを永きに渡って熱させる要因なのでしょう。

展開はシンプルでも、新加入のNicko McBrain(Dr)が曲全体を派手に彩っています。
自分の体が隠れるほど沢山のタムを並べ、まるでメロディを奏でるかのようにカラフルなフレーズを連発する手数の多いスタイルです。
何より特徴的なのが、ヘヴィメタルでは珍しいシングルバスに拘ったプレイ。
片足での高速連打はツインバスを連打する以上の迫力で、そのスピード感はエンジンのようにバンドを引っ張ります。
このメンバーチェンジは、バンドが新たなステージへステップアップするための重要な要素と言えるでしょう。

数えきれないほど多くのコンサートを行って来た中で、セットリストから外されることは皆無です。
今後も末長く愛されるであろう、歴史的名曲です。

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