【曲紹介】Testament / Low

テスタメント / ロウ (1994)

1983年にアメリカのカリフォルニア州で結成されたスラッシュメタルバンド
1994年に発表された6枚目のアルバム[Low]の1曲目に収録されています。

アメリカ西海岸のスラッシュメタルを代表するベテランバンドです。
デビュー以来、攻撃的なスラッシュサウンドにメロディアスなギターソロを取り入れた独自のスタイルで人気を集めました。
しかし、音楽シーンの変化と共に徐々に流行から外れていくスラッシュメタルからの脱却を図ります。
その中でAlex Skolnick(Gt)とLouie Clemente(Dr)が脱退。
幾度かのメンバーの交代を挟み、最終的には[Obituary」や[Death]での活動が有名なJames Murphy(Gt)と元[Exodus]のJohn Tempesta(Dr)が加入。
ラインナップを新たに完成した本作は、スラッシュメタルの攻撃性は保ちながらもオルタナティブロックやニューメタル、インダストリアルメタル等のエッセンスを取り入れたバラエティ豊かなものになりました。
その中から、アルバムのオープニングを飾る攻撃的なナンバーがこちらです。

イントロから音が壁のように迫り来る迫力に圧倒されます。
低音でザクザクと刻まれるギターリフにヘヴィでうねるリズムが非常に心地よく、当時のトレンドだったグルーヴ・メタル(日本のメディアはモダンヘヴィネスと呼んでいた)の要素が非常に強くなっています。
当時は[White Zombie]がメジャーレーベルと契約し、[Pantera]がFar Beyond Drivenで全米1位を獲得し、[Vio-Lence]のRobb Flynnが[Machine Head]で鮮烈なデビューを飾ったりとヘヴィメタルのシーンも激動の時代を迎えていました。

80年代に一斉を風靡したバンドが一斉にスピードを落として時代のトレンドに寄り添いますが、失敗した例も少なくありません。
自分達の魅力的な部分を意図的に封じ込める結果となり、ファンを失う結果になったバンドも一定数いたことも事実です。
ですが、この曲の場合は全く逆でした。
新たに加入した新メンバーがバンドに新たな個性を呼び込んでくれます。

James Murphyの弾くドロドロしたフィールのギタープレイは、楽曲全体に独特の粘り気をもたらしました。
数多くのデスメタルバンドを渡り歩いて培ってきた個性を加入早々に爆発されています。
この影響でChuck Billy(Vo)の歌い方にもグロウルを取り入れたりと新しい試みが多数見られ、それが見事に楽曲にハマっています。

バンド全体のアンサンブルも段違いのレベルアップを遂げました。
これは間違いなく、もう1人の新メンバーであるJohn Tempestaのおかげでしょう。
前任者のLouie Clementeはパワーと勢いに任せて突っ走る典型的スラッシュメタルドラマーでした。
それに対してJohn Tempestaは正確でタイトなリズムと硬くて抜けの良いサウンドが魅力のドラマーです。
新しい音楽性には、これ以上なくマッチしたスタイルです。

スピードを落としただけで、楽曲の持つパワーが増す杞憂な例です。
バンドの元々持っていたポテンシャルと、それに相応しいメンバーチェンジが絡み合って大成功をした良い例ではないでしょうか。
モダンな次世代スラッシュメタルを代表する名曲です。

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