イージー・リヴィン / ダイ・フォー・ロック (1991)
1991年にドイツで結成されたハードロックバンド。
同年に発表されたデビューアルバム[After The Fire]の1曲目に収録されています。
マネジメントとの確執で[Bonfire]を解雇されたギタリストのHans Zillerによって結成されました。
Intercord Record Serviceと契約を結んでリリースされたデビューアルバムは、初期の[Bonfire]と似た哀愁溢れるメロディアスな仕上がりです。
[Bonfire]はアメリカでの成功を意識した大衆的でソフトスタイルへと移行していた為、古くからのファンには喜ばしい内容です。
そのデビューアルバムのオープニングを飾る、アップテンポのナンバーがこちらです。
80年代中期にロサンゼルスを中心に盛況を誇ったグラムメタル。
その雰囲気に、ヨーロピアンな湿り気がうまく融合されています。
冒頭のマシンガンのようなスネアの連打や、エッジの効いたギターリフを聴けばわかるように、メタリックなアレンジです。
Hans Zillerが本来やりかった路線だと語っていたので、[Bonfire]の変化はレコード会社の働きかけによるものでした。
この曲は[Bonfire]のClaus Lessmannが作曲しており、元々は彼が歌う予定でした。
ただ、残念ながらマネジメントとの契約によって[Bonfire]以外での活動が制限されており、泣く泣く袖を分かちます。
しかし、代わりに加入したシンガーのPeter Henricsが実に良い仕事をしています。
線は細く、音程も少し不安定に感じるのですが、ハスキーなハイトーンはメロディラインとの相性が抜群です。
Claus Lessmannのマイルドな声質だと、また違った印象になっていたでしょう。
結果的には理想的な人選となりました。
インパクトの強いメロディックなサビがこの曲最大の聴きどころです。
激しいツインバスの連打をバックに歌われる哀愁の強いメロディラインは、巨悪に立ち向かうヒーローがイメージされます。
実に日本人好みに作られており、ドイツ人と日本人は感性が似ていると再認識しました。
Hans Zillerのギタープレイも、まるで水を得た魚です。
ギターソロではフルスロットルで音数を詰め込んで弾きまくり、ラストのサビでもヴォーカルにかぶせるようにソロパートをねじ込んできます。
これまでの活動で溜まった鬱憤を晴らすかの如きプレイは実に爽快です。
この後すぐに[Bonfire]は解散し、バンドはClaus Lessmannと合流します。
それによってユニット形式のLessmann / Zillerへと移行し、2014年の復活まで長い休止期間に入ります。
短い期間ではありましたが、その中で残したメロディアスハードロックにおける必聴クラスの名曲です。
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