フィフス・エンジェル / ミッドナイト・ラヴ (1989)
1983年にアメリカのワシントン州で結成されたヘヴィメタルバンド。
1989年に発表された2枚目のアルバム[Time Will Tell]の2曲目に収録されています。
ヨーロピアンな雰囲気が漂う正統派ヘヴィメタルバンドとしてマニアの間で話題となりました。
Shrapnel Recordsより発売されたデビューアルバム[Fifth Angel]は、デモ音源と新曲を織り交ぜた内容ながらも湿り気のあるメロディアスなサウンドが特徴の名盤となりました。
その存在がEpic Recordsの目に留まり、めでたくメジャー契約を獲得。
デビューアルバムの再リリースと共に本作のレコーディングへと乗り出します。
その中でKenny Ray(Ba)とJames Byrd(Gt)が脱退するも、John Macko(Ba)とKendall Bechtel(Gt)を新メンバーとして迎えて何を乗り切ります。
こうして完成した本作はセールスに失敗してバンド解散のきっかけを作ってしまうも、内容はブリティッシュメタルの影響を受けたメロディックメタルの名盤となりました。
その中から、特にその傾向が顕著なナンバーがこちらです。
2年ほど前にWhitesnakeがイギリスのバンドながらも随分とアメリカのトレンドを意識したChildren Of The Nightを発表しましたが、その真逆です。
仮にChildren Of The Nightが本来のブリティッシュな質感を保ったまま発表されていたら、きっとこうなっていたでしょう。
そして、このバンドの魅力といえば煮え切らないB級感。
歌も演奏も一流ですが、なぜかA級バンドになりきれないところがマニア心をくすぐるんです。
その一つの要素として特に印象的なのが、ヴォーカルの声です。
音程は安定しているのですが、歌い回しが直線的で線が細く感じる。
そしていまいち抜けてこない声質。
マイナス面かと思いきや、ここが曲の持っている哀愁を増幅させています。
80年代初頭に北欧メタルの界隈でもこの現象が起きていましたが、アメリカでも起こるとは驚きです。
それに対して、ギタープレイは非常にお行儀が良いです。
ヘヴィメタルの弾き方を教科書で完璧にマスターしてからレコーディングに臨んだ結果です。
予定調和なフレーズを連発してくれる様には、思わずニンマリさせられます。
80年代のマイナーメタル好きに聞かせたら1発でガッツポーズが飛び出す、良い意味で「無難な名曲」です。
突出したところは何もないけど、名曲になる要素は全て揃えている。
そんな優等生なところが魅力であります。
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