メイヘム / ベリード・バイ・タイム・アンド・ダスト (1993)
1983年にノルウェーで結成されたブラックメタルバンド。
1993年に発表された1枚目のアルバム[De Mysteriis Dom Sathanas]の7曲目に収録されています。
ブラックメタルを語る上で、絶対に外せない伝説のバンドです。
アルバム制作前に、ヴォーカルが自ら命を絶ってしまいます。
仕方なく助っ人のシンガーを招き入れるも、ギタリストはベーシストにナイフで刺されて命を落とし、ベーシストはその罪により投獄。
発表時、メンバーはドラマーしか残っていませんでした。
そんな騒動の中でリリースされた作品は、ブラックメタルの基本中の基本と呼ばれるバイブルとなりました。
とにかく、インパクト絶大な楽曲が目白押しですが、その中で最も短くストレートなナンバーがこちら!
3分30秒程の長さで、展開の変化もつけずに最初から最後まで高速で走り切ります。
アルバムに収録されている他の曲と比べると半分程度の長さであるため、かなりスッキリとした印象です。
曲の土台となっているのは、ノルウェー最強のドラマーと名高いHellhammerが繰り出すブラストビートです。
凄まじいスピードで繰り出されるキックとスネアの高速連打からは、地獄の業火で焼かれて苦しみ悶える姿をが目に浮かんできます。
機械のように正確なビートではなく、人間的な揺らぎのあるリズムが楽曲の持つ暴虐性を増幅させています。
その上に乗る、ブラックメタルのスタンダードな高音シャウトとは全く趣の違う、呪詛を吐いているかのようなAttilaの不気味なうめき声にも似た叫びは異次元にいるかのような世界観です。
故郷のハンガリーから急遽召集されて、仕事として参加したとは到底思えないハマりっぷり。
ここまで邪悪なサウンドは、まともな人間には土台無理です。
事実、まともでは無い人間は全員あの世か刑務所に旅立ってしまいました。
ブラックメタルを理解したリスナーにしか、お薦めできる代物ではありません。
ただの気持ちの悪い騒音として判断されてしまうでしょう。
いえ、ブラックメタルを表面的にしか聴いていない場合も厳しいかもしれません。
スタンダードなブラックメタルの名曲たちとはあまりにもかけ離れているからです。
ですが、ブラックメタルの歴史や、インナーサークルと名乗る悪魔崇拝集団について興味を持って触れたならば、一生愛せる名曲に化けてくれるでしょう。
まさに、ブラックメタルの最終到達点です。
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