サヴェージ / ウィー・ゴット・ジ・エッジ (1985)
1978年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表された2枚目のアルバム[Hyperactive]の1曲目に収録されています。
NWOBHMのブームに乗って1983年にアルバムデビューし、当時の基準ではトップクラスに過激なサウンドで多くのバンドに影響を与えたバンドです。
特に代表曲の[Let it Loose]は、アマチュア時代の[Metallica]もライブで演奏していました。
その2年後、NWOBHMのムーブメントも鎮火した頃にひっそりと発表されたのが本作です。
アグレッシブで荒削りなスタイルからメロディアスなヘヴィメタルに変化を遂げましたが、発表するタイミングが悪くセールスは大失敗となりました。
ですが、駄作と切り捨てるには惜しいと感じさせるのは、アルバムトップを飾るこの曲のおかげです。
[Motorhead]を更に過激にした突進力を持ったバンドはどこへやら。
イントロではツインリードのハーモニーまで使用しており、まるで[Iron Maiden]のようです。
時流に合わせてシンセドラムのサウンドも取り入れて、商業的な成功も視野に入れていたのでしょうか。
アメリカでメインストリームになっている洗練されたヘヴィメタルバンドを目指しているようです。
ですが、それにはシンガーの交代が必要でした。
Chris Bradleyの間伸びした少し幼い感じのする声は、この曲の雰囲気にはあまり合っていません。
従来の我武者羅に疾走するタイプの楽曲でこそ存在感を示していた声も、今回は完全に足を引っ張っています。
ですが、そこに目を瞑れば楽曲の内容はB級バンドを愛するマニアには十分にアピールできます。
[Iron Maiden]のような曲を[Def Leppard]のように商業的に成功を狙ったアプローチをしようとしていることが伝わってくるからです。
この時期はアメリカでヘヴィメタルがムーブメントになっており、名声を得たバンドが数多くおりました。
結果的には大失敗となりましたが、チャレンジ精神だけは認めたいところ。
失敗作と呼ばれるアルバムの中できらりと輝く、荒野に咲く一輪の花のような名曲です。
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