【曲紹介】All That Remains / What If I Was Nothing

オール・ザット・リメインズ / ホワット・イフ・アイ・ワズ・ナッシング (2012)

1998年にマサチューセッツ州で結成されたメタルコアバンド。
2012年に発表された6枚目のアルバム[A War You Cannot Win]の8曲目に収録されています。

メタルコアを代表するバンドであり、メロディアスな部分を強調した楽曲が人気を博します。
同時期にデビューしたバンドの中でも、特にメロディックデスメタルの要素が色濃く出ていました。
作品を重ねるにつれて、次第に幅広い層にアピールする楽曲も増えてきます。
本作ではその傾向が顕著に現れ、メタルコアの枠を超えたバラエティ豊かな作風となりました。
その中から、シリアスなバラードナンバーがこちらです。

これまでの作品では強烈なスクリームとクリーンボイスを駆使して楽曲を表現していたPhilip Labonte。
なんと、今回は全編がクリーンボイスで構成されており、新しい試みとして話題となりました。

ヒットを意識したシンプルなバラードは、当時のメインストリームに極限まで寄り添った仕上がりです。
虚無感がほのかに漂う哀愁は、ヘヴィメタルファンにもアピールするだけのものを持ち合わせています。

インパクトの強いメロディのサビは非常にエモーショナル。
コーラスを幾重にも重ねてあり、[Nickelback]や[Lost Prophets]等のオルタナティブロックからの影響も伺えます。
ギターワークも素晴らしく、クリーンなアルペジオから泣きのソロまで楽曲の魅力を余すことなく演出しています。

ただ、従来のイメージからこれだけ外れてしまうと、ファンから不満の声も上がります。
メタルコアバンドが軟弱になったと揶揄する代名詞として、この曲が比較対象とされるようになりました。

このバンドの最も有名な楽曲は、ホラー映画[SAW3]のエンディングで使われた[This Calling]です。
強烈なシャウトやツインバスの高速連打、メロディアスなギターリフやクリーンボイスが飛び出す個性がうまく融合されたメタルコアを象徴する名曲です。
そこからのギャップに耐えられないファンが離れていくのは仕方のないこと。

ですが、多くの新しいファンを獲得できたのも事実です。
普段メタルコアに触れて来なかったリスナーが、この曲をきっかけに過去作品にも興味を持ってくれたらなと思います。
そして、ルーツを辿る上で[At The Gates]等のスウェディッシュデスメタルに行き着いてれたら、どれほど嬉しいことでしょう。
そんな可能性を秘めた名曲です。

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