【曲紹介】Cathedral / Ride

カテドラル / ライド (1993)

1989年にイングランドで結成されたドゥームメタルバンド。
1993年に発表された2枚目のアルバム[The Ethereal Mirror]の2曲目に収録されています。

重苦しいヘヴィなビートと70年代のヴィンテージなロックサウンドを融合させた独自の音楽性で人気を博したバンドです。
[Napalm Death]を脱退したばかりのLee Dorrian(Vo)が[Carcass]のローディーをしていたMark Griffiths(Ba)と意気投合。
そこに元[Acid Reign]のGarry Jennings(Gt)と合流して発表したデビューアルバムの[Forest Of Equilibrium]は、常識はずれに遅いテンポがセンセーショナルな話題となりました。
しかし陰鬱なドゥームメタル作品はこれ1作で終了し、バンドは音楽性を70年代のハードロックにレイドバックしたストーナーロックのサウンドに方向転換します。
1992年にはEPの[Soul Sacrifice]をリリースすると、なんとColumbia Recordsから契約を持ちかける話が舞い込んできました。
メジャーレーベルからの手厚いバックアップで2ヶ月のアメリカツアーを行ったバンドは、前作とはうって変わって跳ねたご機嫌なビート満載の本作を発表。
その中から、メガトン級にヘヴィなシャッフルナンバーがこちらです。

まるで重い鉄球を引き摺りながらスキップをしているような不思議なフィールは、それだけでリスナーを不思議な世界へといざないます。
極端にダウンチューニングした重低音がズンズンと響くリフは脳に直接響き渡り、トリップした雰囲気が満載です。
[Black Sabbath]からの影響が顕著に出ていますが、そこに90年代のテクノロジーを融合して独自のスタイルを確立しました。

Lee Dorrian(Vo)もグロウルは一切使わずに強烈な濁声を多用したものに変化しています。
まるで狂人のようなメロディとも語りともつかない奇妙な歌声は、曲の雰囲気に見事にマッチした名演です。
ドラッグでトリップしながら歌う[Ozzy Osbourne]と同じ雰囲気を感じました。
要所要所で入る『Uh!Yeah!』などの合いの手などは何度も聞きたくなる不思議な中毒性が満載です。

ギターリフでは飛び切りヘヴィなサウンドを出しているGarry Jennings(Gt)ですが、リードではTony Iommiの独特なトーンを見事に再現しています。
リズムチェンジを交えたギターソロは非常にメロディアスなプレイを披露しており、オーバーダビングで奏でられるツインリードのハーモニーはうっとりする美しさです。
古き良きブリティッシュロックの魅力的な部分が濃縮された名演ではないでしょうか。

遅さの極みと言われたドゥームメタルからまるで[Black Sabbath]のクローンとまで言われたヴィンテージロックに見事に転身した出世作。
後にストーナーロックを作り出すプロトタイプともなった名曲です、

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