【曲紹介】Power Paladin / Righteous Fury

パワー・パラディン / ライチャス・フューリー (2022)

2017年にアイスランドで結成されたメロディックパワーメタルバンド。
2022年に発表されたデビューアルバム[With The Magic Of Windfyre Steel]の2曲目に収録されています。

アイスランドのシーンでは非常に珍しい正統派に近いヘヴィメタルを演奏するバンドです。
地元のパワーメタルを愛好する友人達が集まって[Paladin]として結成。
アマチュアとしての活動の延長でインターネット上にシングルを1曲公開したところ、Nuclear Blastの創始者であるMarkus Staigerの耳に入ります。
早速彼からバンドに連絡が入り、新たに設立される振興レーベルのAtomic Fire Recordsに所属する最初のバンドとして契約を締結。
しかし、デビューアルバムのレコーディングを終えた時点でアメリカのアトランタに同名のバンドがいることが発覚して現在のバンド名へと改名を行いました。
こうして発表された本作は、剣と魔法のファンタジーを題材にしたスタンダードなメロディックパワーメタルの傑作として多くのファンを獲得します。
その中から、ギターソロのメロディが世界に衝撃を与えた人気ナンバーがこちらです。

アイスランドといえば[Björk]や[Sigur Rós]、[múm]といったエレクトロニカやポストロックのアーティストが世界的に有名な国です。
メタルシーンにも[Sólstafir]や[Skálmöld]などのペイガンメタルやフォークメタルが多く存在しています。
そんな中で飛び出したメロディックパワーメタルなので、多くのリスナーから注目を集めました。

ツインバスの連打を多用しながら演出過剰気味のメロディを惜しげもなく使うスタイルは、2000年代初頭にヨーロッパ各国から多くデビューしたバンドと全く同じスタイル。
ですが、新人といえど歌も演奏もそれなりのレベルでまとまっていて安定感があります。
粗の少ない丁寧な演奏と引き換えに多少のっぺりとした印象も感じられますが、メロディセンスとアレンジの工夫で勝負するジャンルにおいては殆どマイナスには働いていません。

2本のギターとシンセを全面に押し出したミックスながらも音圧はそこまで感じられず、メロディのハーモニーを中心に聴かせるアレンジがメインなので全ての音がスッキリと聴こえます。
ごちゃごちゃしたサウンドになりがちな編成において、ここまでメロディを際立たせて聴かせることができるのも時間をかけて丁寧にレコーディングを行った成果が現れています。

この曲の最大のハイライトは、なんと言ってもギターソロ。
なんと、世界中で愛されている任天堂の人気ゲームシリーズ[ゼルダの伝説]のメインテーマを引用しています。
1986年にディスクシステム用ゲームとして発売されるや否や、爆発的なヒットよって数多くの続編が発表されているビッグタイトルです。
ゲームミュージックのフレーズを曲中に取り入れるバンドは[Dragonforce]が有名ですが、ここまでストレートに導入している例は珍しいでしょう。
ゼルダの伝説の世界観とも非常に親和性が高い剣と魔法のファンタジーの世界をコンセプトに掲げているので、まさにベストチョイスと言えます。

先人達の手垢にまみれ、正直なところ新鮮味はほとんどない方向性です。
ですが、それをあえて2022年に世界へ向けてリバイバルしたことに意義が感じられます。
新しい時代の若者達へ伝える古き良きメロディックパワーメタルの名曲です。

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