【曲紹介】Slayer / Angel Of Death

スレイヤー / エンジェル・オブ・デス (1986)

1981年にカリフォルニア州で結成されたスラッシュメタルバンド。
1986年に発表された3枚目のアルバム[Reign in Bloodの1曲目に収録されています。

Big4と呼ばれるアメリカを代表するスラッシュメタルの中でも、特にスピードと過激さにこだわった作風でファンから帝王と親しまれていたバンドです。
前作[Hell Awaits]は世界中のスラッシュメタルファンからの大絶賛をもって迎えられ、[Venom]と[Exodus]とのカップリングツアーも大盛況のうちに終わります。
そして、遂にメジャーレーベルのDef Jamへ移籍。
Hip Hopシーンの立役者でもあるRick Rubinをプロデューサーに迎え、メジャーデビュー作の本作をリリースします。
ハードコアパンクからの影響が強い極端にテンポが速いナンバーが揃った名盤から、バンドの代表曲とも言えるキラーチューンがこちらです。

多くのリスナーから究極のスラッシュメタルとして崇められているアルバムのオープニングを飾る、この世で最も知名度が高いと言われるスラッシュメタルナンバーです。
発表当時はメンバーのKerry Kingからも理解できないリスナーが多くいるだろうと言わしめるほどの激しさでした。

オープニングからして強烈です。
デビューアルバム収録の[Evil Has No Boundaries]とほぼ同じ高速ギターリフの刻みからTom Arayaの超音波のようなシャウトへ傾れ込む構成なのですが、スピードが桁違い。
ギターリフはあまりの速さにフレーズを聞き取ることすら困難であり、バタバタと踏み鳴らされるツインバスの連打は身体中を殴られているような迫力です。

メジャーレーベルからのリリースである為、音質面の弱点も解消されました。
音圧がぐっと上がり、特にリズムセクションは低音がしっかりと出ているので迫力が段違いです。
リスナーを圧倒する勢いは、芯のあるサウンドも大切な要素となっています。

あまりにテンポを上げ過ぎた為に前作までのキャッチーなギターリフは陰を潜めてしまいましたが、そこは曲展開でしっかりカバーできています。
中間部分ではテンポを落とし、ギターソロでは元のテンポよりも更にもう少しだけ速くする緩急の付け方でリスナーの感じる体感速度を巧みにコントロールします。

この曲のハイライトは、Dave Lombardoの圧巻のドラムプレイです。
ギターソロが終わってから曲の最後までひたすら高速でツインバスを連打し続けるアレンジには当時のリスナーは度肝を抜かれたのではないでしょうか?
全ての楽器がブレイクし、バスドラムの連打のみ残るパートはライブでもオーディエンスが大いに盛り上がります。

曲だけでなく、第二次世界大戦中にアウシュヴィッツ収容所で行われたナチスの外科学実験に関する歌詞も物議を醸しました。
このせいでアルバムの発売すら危ぶまれましたが、皮肉にもアンダーグラウンドで不謹慎な楽曲を好むマニアの圧倒的な支持を得る結果となります。

個人的には前作までのメロディアスなリフを中心としたスタイルが好みでしたが、リスナーに与えるインパクトではこちらが遥かに優っています。
スラッシュメタルの登竜門として全リスナー推奨の名曲です。

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