【曲紹介】Dream Theater / Pull Me Under

ドリーム・シアター / プル・ミー・アンダー(1992)

1985年にアメリカのボストンで結成されたプログレッシブメタルバンド。
1992年に発表された2枚目のアルバム[Images And Words]の1曲目に収録されています。

プログレッシブロックとヘヴィメタルを融合し、更にはマニア以外の層にも向けた大衆声を盛り込んでジャンルの代表格となったバンドです。
1989年にデビューアルバム[When Dream and Day Unite]を発表した直後、[Bruce Dickinson]やGeoff Tateのようなシンガーを求めるバンドとの意見の相違からCharlie Dominiciが脱退。
2年かけて200人をオーディションした結果、カナダ人のJames LaBrieをシンガーとして迎えます。
その間にプロダクションやレーベルとのトラブルに翻弄されますが、最終的にはメジャーレーベルのAtco Recordsと契約。
プロデューサーには[Firehouse]を手がけたことで有名なDavid Praterを迎えて制作された本作は、BillboardのTop Heatseekers部門で2位に輝きました。
その中から、ライブでは必ず演奏されるバンド屈指の人気ナンバーがこちらです。

透明感のあるギターのアルペジオにタム回しを中心としたドラムビートが絡み、[Metallica]顔負けのヘヴィなリフに雪崩れ込む展開は何度聞いてもゾクゾク来ます。
そこに[Rush]のような複雑怪奇且つポップセンス溢れるアレンジが絶妙なバランスで融合されています。

この曲が一般大衆からも大きな支持を得た大きな要因は、新加入のJames LaBrieの存在でしょう。
豊かな声量と伸びやかなハイトーン、そしてポップシンガーとしても通用する癖のない歌い回しでジャンルの持つイメージを一新しました。
プログレッシブメタルには前任者のCharlie Dominiciをはじめ個性の強いシンガーが多くいましたが、そこがマニア以外からは一線を置かれる原因にもなっていました。
そのウィークポイントを見事に払拭してくれた彼の功績は大きいと言えるでしょう。

複雑な展開ながらも、覚えやすいキャッチーなフレーズを随所に盛り込んでくるセンスも抜群です。
メロディラインは不安定で非常にダークな雰囲気なのですが、それを感じさせないポップセンスのバランスが絶妙で耳に残ります。
このバランス感覚を保てたのは奇跡であり、実際にここまでインパクトの強いポップなメタルナンバーは発表から30年以上経過した時点でも今だに作れていません。
この事実が狙って作れるものではないことを証明しています。

メンバーの創作意欲があまりにも高く、アイデアが次々と湧いてきてエンディングを迎えられないために曲の途中でぶつ切りにして強制終了させた逸話まであります。
このおかげで次曲の[Another Day]のイントロが強烈なインパクトを放つ結果にもなりました。
まさにプログレッシブメタルにおけるスタンダードナンバーとも言える歴史的名曲です。

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