【曲紹介】Pantera / Rise

パンテラ / ライズ (1992)

1982年にアメリカのテキサス州で結成されたヘヴィメタルバンド。
1992年に発表された6枚目のアルバム[Vulgar Display of Power]の6曲目に収録されています。

極端に尖ったサウンドと、うねるようなリズムで『グルーヴメタル』のジャンルを作り、音楽シーンを変えた伝説のバンドです。
80年代は普遍的なヘヴィメタルのスタイルでしたが、1990年のメジャーデビューと同時に音楽性を大きく転換。
極限までに硬質なサウンドと、[Black Sabbath]からの影響が強く出たうねるようなリズムを前面に出したスタイルを打ち出します。
メジャーデビュー作で全米でプラチナディスクに輝いた前作に続く本作は、スラッシュメタルにハードコアの要素をバランスよくミックスした攻撃的なサウンドがリスナーに衝撃を与えます。
その結果、全米44位の快挙を遂げてバンドの代表作となりました。
その中から、特にスラッシュメタルの要素が強いスピードナンバーがこちらです。

ギターのザクザクした高速の刻みとアタックの強い音で連打されるバスドラムは、まるで機銃掃射を受けているようです。
暴力的で有無を言わさぬ怒りに満ちたPhil Anselmoが腹の底から搾り出すような咆哮、が叩きつけるように強烈なビートと一体になって襲って来ます。

80年代のスラッシュメタルとの明らかな違いは、音の隙間の多いリフをユニゾンするパートが存在することです。
この独特の間を活用してリズムに緩急をつけ、結果的に音を詰め込んだ高速パートを更にアグレッシヴに聞かせる工夫がなされています。

また、オーバータブを極力せずにレコーディングしているだけあって、ギターソロパートがとにかく強烈。
ゴリゴリと怪しい音で地を這うようにかき鳴らされるベースパートの上を、エフェクトでぼやけた音像のギターが大暴れするアレンジは、音の薄さが逆に緊張感を演出しています。
要所で現れるキメで一瞬だけ分厚い音に戻るところ等も、素晴らしい緩急の付け方です。

オールドスクールなスラッシュメタルを、新しい解釈の音作りとアレンジで時代の最先端を行くサウンドに作り替えてしまった名曲です。

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