【曲紹介】Unearth / Zombie Autopilot

アンアース / ゾンビ・オートパイロット(2004)

1998年にアメリカのマサチューセッツ州で結成されたメタルコアバンド。
2004年に発表された2枚目のアルバム[The Oncoming Storm]の5曲目に収録されています。

ボストンのメタルコアシーンを中心となって盛り上げたベテランバンドです。
[Killswitch Engage]のAdam Dutkiewiczによってプロデュースされたデビューアルバムの[The Stings of Conscience]は、ハードコアにメロディックなギターワークを融合してシーンに衝撃を与えました。
その後、メンバーの相次ぐ脱退に悩まされますが[All That Remains]や[Killswitch Engage]、[Sworn Enemy]のメンバー達の手を借りて危機を乗り切ります。
その後、新メンバーにMike Justian(Dr)とJohn Maggard(Ba)を迎えたバンドは大手のMetal Blade Recordsと契約をして本作をリリース。
メタルコアとしては異例のBillbordチャートへ105位とはいえラインクインを果たします。
その中から、ツインギターのハーモニーが特にメロディアスなナンバーがこちらです。

イントロの美しいツインリードのハーモニーは多くのリスナーに衝撃を与えたことでしょう。
まるで[Iron Maiden]か、はたまたスウェーデンのメロディックデスメタルか。
ヘヴィメタルの持つメランコリックな部分を剥き出しにして暴れ回るギターワークは圧巻です。

テクニカルで流麗なギターソロで奏でられる哀愁溢れるメロディセンスは完全に[In Flames]そのもの。
クリアなトーンで絶妙なビブラートで泣きのフレーズが表現され、要所要所ではツインでのハーモニーを奏でます。
ここまでメロディックなギターソロは当時のメタルコアシーンにおいては革命的でした。
初期[Dark Tranquillity]のような耽美的な雰囲気漂うパートまで用意されています。
メロディックデスメタルへの入れ込みは相当なものを感じます。

アグレッシブな部分もしっかりと保っているところもこのバンドの魅力です。
安易にクリーンボーカルを導入せず全編に渡って激しいグロウルで押し通すTrevor Phipps(Vo)の潔さは楽曲に大きなパワーを与えていますし、ツインバスの連打を多用して強引に曲を引っ張るMike Justian(Dr)のプレイはまさにハードコアそのもの。
リスナーの心を捕らえて離さないのはこの絶妙なバランス感覚でしょう。

バンド自体はまだ発展途上であり、演奏面では浮き足だったリズム等の改善点はまだ残っています。
ですが、それを踏まえてもメロディックなメタルコアの完成系に近づいたことは紛れもない事実。
そのきっかけを作った名曲です。

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