ソドム / アウトブレイク・オブ・イーヴル (1984)
1981年に結成されたドイツのスラッシュメタルバンド。
1985年に発表された最初のEP[In the Sign of Evil]の1曲目に収録されています。
ジャーマンスラッシュメタルの代表格であり、[Destruction]、[Kreator]と共にシーンの創世記から活動を続けているバンドです。
デモ音源がマニアの間で話題となり、地元のインディーズレーベルであるDevil’s Gameと契約を交わし、レコーディングに臨みます。
完成した作品は、[Venom]を模倣としたロックンロールやハードコアからの影響が強いブラックメタルの名作としてアンダーグランドで話題になりました。
その中から、アルバムのトップを飾るライブでもお馴染みの人気曲がこちらです。
とにかく、邪悪!
当時、激しい音楽なんて数えるほどしかなかった時代にこんなことをやってたら、本気で悪魔に魂を売ったと思われても仕方がありません。
暗い地下室の下で怪しい黒魔術をやっているようなヤバさを感じます。
とにかく、勢い「だけ」で突っ走る良い意味でどうしようもない楽曲です。
音も酷い。
パコパコポコポコ変テコな音を出しているドラム以外、何を弾いているのか全くわらりません。
そして、演奏も凄まじい!
下手を通り越して天才的なテクニックと言っても過言ではありません。
曲が始まった時はいいんですよ。
「おお〜〜!なんかヤケクソに突っ走りまくってるぁ」と関心します。
おかしくなるのは、歌が一区切りしてリフが変わり始めたところから。
ん?リズムがどんどん前に前につんのめっていきます。
そしてドラムがフィルインを叩くと、拍がすれて演奏が大きく崩れます。
ここまでアンサンブルが崩壊したら、演奏の継続すら困難です。
なのに、小節の頭だけはピタっと見事に合うんです。
一体何が起こっているんでしょうか?
魔法を使わなければこんなことあり得ません。
本人達すらも、どうやってレコーディングをしたのか覚えていません。
全員がビールで泥酔しており、スタジオのスタッフ達も大麻によって正気を無くした中でいつの間にか完成していた作品です。
さらに、Tom Angel Ripper以外のメンバーは一人残らずこの世を去ってしまったので、レコーディングの光景を明確に記憶している人間はどこにも居りません。
誰にも真似など出来ない、この瞬間だけの奇跡のテイクです。
長い歴史の中で、数多くのバンド達に影響を与え続けてきました。
エクストリームメタルの歴史を紐解く上で、非常に重要な古典です。
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