ソドム / アウトブレイク・オブ・イーヴル (1984)
1982年にドイツで結成されたスラッシュメタルバンド。
1985年に発表された最初のEP[In the Sign of Evil]の1曲目に収録されています。
ドイツにおけるスラッシュメタルバンドの代表格で、[Destruction]、[Kreator]と共にシーンの創世記から活動を続けているバンドです。
工業都市Gelsenkirchenの炭鉱夫として働いていたTom Angel Ripper(Vo/Ba)は、仕事をを辞める口実のために同僚たちとバンドを結成。
[Venom]の楽曲[One Thousand Days in Sodom]を元にバンド名も決定。
幾度かのメンバーチェンジを経てリリースした2本のデモテープがマニアの間で話題となり。地元のインディーズレーベルDevil’s Gameとアルバムをリリースする契約を締結。
レーベルとのレコーディング費用を巡るトラブルでEPとしてのリリースになりましたが、無事にデビュー作は完成。
悪魔崇拝をテーマにした内容は[Venom]の名盤に因んでブラックメタルというジャンルで呼ばれ、アンダーグラウンドで話題となりました。
その中から、アルバムのトップを飾るライブでもお馴染みの人気曲がこちらです。
この曲を一言で表すと、カオスです。
整合感の欠片もない滅茶苦茶なアンサンブル。
音楽ジャーナリストで[Sigh]のリーダーである川嶋未来氏も本作を”お互いの音が聞こえない状態で適当に演奏しているとしか思えないようなバラバラぶり、なのに最終的にはきちんとつじつまが合っていたりという奇跡の名盤”と称していましたが、言い得て妙。
初めのうちは比較的まともな演奏なのですが、曲が進むにつれて徐々にアンサンブルが崩れていきます。
Chris Witchhunter(Dr)がフィルインを入れるたびに拍が多くなったり少なくなったりを繰り返し、そのうちにリズムがひっくり返ります。
最早演奏を続けることは不可能かと思いきや、何故かキメの部分で何事も無かったかのように全員のリズムがピッタリと合うのです。
これを奇跡と呼ばずしてなんと呼べば良いのか!
また、スタジオでレコーディングを行ったとはにわかに信じがたい音質の悪さもまた魅力です。
段ボールを叩いているようなドラムサウンド、音が潰れてどんなフレーズを弾いているのか全く判別できないギターとベース。
アンダーグラウンドな雰囲気を出すにはこれ以上最適なロケーションはありません。
余談ですが、本人達もレコーディングをどのように行なったのかは殆ど覚えておりません。
メンバー全員が泥酔しており、スタジオのスタッフ達も大麻で酩酊した状態で作業をしたので、気がついた時は作品が完成していたそうです。
更に、当時のバンドメンバーはTom Angel Ripper(Vo/Ba)を除いて全員がこの世を去ってしまったので、レコーディングの光景を明確に記憶している人物がいないのです。
再現はどだい不可能な、この時期だからこそ成し得た奇跡のテイクです。
あまりにミステリアスで、あまりに混沌とした邪悪な雰囲気。
英語を覚えたての状態で作ったであろう、笑ってしまうほど稚拙な悪魔崇拝をテーマにした歌詞。
マニアの間で”赤ずきんちゃん”と呼ばれて親しまれているジャケットと共に、アンダーグラウンド愛好家としては狂おしいほど愛おしい要素が満載です。
これから続くエクストリームメタルの歴史の中で、多くのバンド達に間接的に影響を与えています。
ブラックメタルの歴史を紐解く上で、とても重要な名曲です。


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